出版社内容情報
現代の若者は他者と関わり、居場所をはかるために、ポピュラー音楽を「道具」としてどのように活用しているか。フィールドワークを通し、彼らの音楽行動の実像に迫る。
日本の高校生を対象に教室からコスプレ集会まで、多様な演奏・聴取行動を追った調査を通し、彼らが場所や状況に応じ「好み」を使い分ける方法とその理由を描く。そこから見えてくるのは「パーソナルの自己防衛」を基本とする、彼らのアイデンティティ構築戦術である。著者のアイデンティティ構築と音楽行動の関わりに迫る意欲的研究。
[関連書] 『鳴り響く<性>』『ポピュラー音楽へのまなざし』(勁草書房刊)
はじめに
第一章 ポピュラー音楽研究の系譜と課題
一 学校の内外を橋渡しする
二 教育とポピュラー音楽
三 サブカルチャー研究とポピュラー音楽
四 文化資本としてのポピュラー音楽
五 ポピュラー音楽とジェンダー
第二章 フォーマルな空間
一 交差する三つの空間
二 教室の男子高校生
三 教室の女子高校生
四 ポピュラー音楽の三層構造
五 「戦法」と「作戦」
六 吹奏楽部
第三章 セミフォーマルな空間
一 男子フォークソング部員
二 女子フォークソング部員
三 高校生バンド・イベント
第四章 インフォーマルな空間
一 聴取に専念する男子高校生
二 ヴィジュアル系バンドのコスプレ女子高生
三 男の子バンド
四 女の子バンド
結び 音楽をまとう若者
あとがき
参考文献
人名索引
事項索引
内容説明
高校生が「好きな音楽」について語る時、必ずしも本当に好きな音楽を語っているとは限らない。授業、部活動、コンテストやライブなど、場所や状況に応じて「好み」を使い分けている。三層構造をなすその使い分けを著者は、ホンネに近い順から「パーソナル・ミュージック」「コモン・ミュージック」「スタンダード」と名づけた。「パーソナル・ミュージック」の開陳に比較的抵抗感のない男子に比べ、女子は個人的嗜好をなかなか明かさないといった、ジェンダーによる相違も存在する。本書は、日本の高校生九六名を対象に、教室からコスプレ集会までさまざまな場における音楽行動を追ったフィールドワークをとおし、こうした使い分けの方法や理由を体系化したものである。
目次
第1章 ポピュラー音楽研究の系譜と課題(学校の内外を橋渡しする;教育とポピュラー音楽 ほか)
第2章 フォーマルな空間(交差する三つの空間;教室の男子高校生 ほか)
第3章 セミフォーマルな空間(男子フォークソング部員;女子フォークソング部員 ほか)
第4章 インフォーマルな空間(聴取に専念する男子高校生;ヴィジュアル系バンドのコスプレ女子高生 ほか)
結び 音楽をまとう若者
著者等紹介
小泉恭子[コイズミキョウコ]
1966年大阪市生まれ。1992年東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。1995年兵庫教育大学助手。2003年愛知教育大学助教授。2003年ロンドン大学教育研究所博士号(Ph.D.)取得。愛知教育大学助教授。専門は、音楽社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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