出版社内容情報
近世における性関係、受胎、出産、育児、捨子の諸相を詳細に追う。女性の身体や生命の問題を性と生殖のプロセスの中で捉えなおす。
近世社会においては、当事者である産む女性にとっても、生まれてくる子どもにとっても、性と生殖の過程は死と接するものであった。避妊、堕胎、間引きや出産管理の制度はどのような状況にあったのか。女性の身体はどう捉えられていたのか。一人一人の女性の具体的な経験から発する声に耳をすませ、女性の身体と生命の問題を探る。近代のライフサイクル観を問い直す試み。
関連書:同著者『出産と身体の近世』(小社刊)
序章 歴史のなかの性と生殖
1 本書の課題
2 「性と生殖の近世」の射程
Ⅰ
第一章 懐胎・出産取締りからみた<産む>身体
1 一関藩の「育子仕法」と武士の出産
2 言説から見た堕胎
3 藩と在村医のせめぎあい
4 堕胎・間引きをめぐる事件
第二章 堕胎・間引きをめぐる権力関係
1 子殺しの周辺
2 家族、女の罪へ
3 産むこと・産まないことをめぐる藩・共同体
4 堕胎・間引きの周辺
第三章 性と生殖の民族
1 懐胎の月への関心
2 女性の身体観と「四季」
3 胎内の子への関心
Ⅱ
第四章 捨子の実像
1 近世の捨子の実態への接近
2 岡山藩の捨子
3 捨子をめぐる処罰例
4 岡山城下の捨子
5 捨子の背景
6 捨子のその後
第五章 捨子の運命
1 捨子への対応
2 捨てられた子どもたち
3 捨てた親たち
Ⅲ
第六章 性と生殖の規範化
1 近代家族の自明性への問い
2 近世における<産む>身体をめぐるせめぎあい
3 性規範をめぐるせめぎあい
第七章 女医の診察記録にみる女の身体
1 近世の地域医療と女の身体
2 近代初頭の女医と患者たち
3 診察記録が語る女の身体
4 近代化のなかの女の身体
5 診察を受ける女たち
終章 性と生殖の近代へ
1 「性と生殖の近世」の構図
2 「性と生殖の近代」へ
あとがき
参考文献
索引
初出一覧
内容説明
性関係、避妊、受胎から出産、産後までのプロセスを女性たちの生きた現場から捉えなおす。生命の安全と存続を求める人々の努力の諸相。
目次
序章 歴史のなかの性と生殖
第1章 懐胎・出産取締りからみた“産む”身体
第2章 堕胎・間引きをめぐる権力関係
第3章 性と生殖の民俗
第4章 捨子の実像
第5章 捨子の運命
第6章 性と生殖の規範化
第7章 女医の診察記録にみる女の身体
終章 性と生殖の近代へ
著者等紹介
沢山美果子[サワヤマミカコ]
1951年福島県に生まれる。1979年お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科人間発達学専攻修了、学術博士(お茶の水女子大学)。現在、順正短期大学幼児教育科教授。日本教育思想史、女性史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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