ナラティヴの臨床社会学

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ナラティヴの臨床社会学

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  • サイズ B6判/ページ数 243,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784326653027
  • NDC分類 361
  • Cコード C3036

出版社内容情報

物語としての臨床、物語としての社会。臨床現場から社会システムまで、ナラティヴ・アプローチが拓く社会分析の新たな可能性。

人文社会科学、臨床科学などのさまざまな領域で注目を集めるナラティヴ・アプローチ。それは、われわれの生きる現実が、「物語」という形式によって構成され、「語り」という行為によって変容することに着目する。この理論と方法を明らかにするとともに、具体的場面における応用を探求する。

関連書:『構築主義とは何か』(小社刊)、『自己への物語論的接近』(小社刊)


序章 ナラティヴの臨床社会学
1 臨床社会学
2 ナラティヴ・アプローチ
3 社会構成主義とナラティヴ・アプローチ
4 本書の構成

第Ⅰ部

第一章 臨床のナラティヴ
1 医療化
2 病いの意味と語り
3 ナラティヴ・セラピー
4 三つの社会的構成
5 二つの物語

第二章 社会構成主義という視点 バーガー&ルックマン再考
1 はじめに
2 社会構成主義
3 ナラティヴ・セラピーとの比較
4 臨床的現実の再構成
5 おわりに

第三章 臨床的現実と社会的現実
1 はじめに
2 ナラティヴ・セラピー
3 ナラティヴ・セラピーが構成する現実
4 相対主義的現実
5 社会構成主義的現実のゆくえ

第Ⅱ部 

第四章 サイコセラピーの臨床社会学
1 サイコセラピーとは
2 現実の心理学化
3 セラピー的文化
4 親密性の変容
5 セラピーの変貌──ナラティヴ・セラピー
6 臨床社会学のまなざし

第五章 集団療法の臨床社会学
1 はじめに
2 臨床現場でのとまどい
3 集団療法の効果
4 集団療法のミクロ社会学
5 物語論的転回
6 臨床社会学の可能性

第六章 ソーシャルワークの臨床社会学
1 はじめに
2 臨床実践モデルの変遷
3 ナラティヴ・モデル
4 臨床実践と福祉政策の変貌
5 おわりに

第七章 援助実践の臨床社会学 その課題と可能性
1 「援助実践」の分析枠組
2 専門職論
3 専門化と無能力化
4 専門性の変容──ナラティヴ・アプローチ
5 「近代」と「脱近代」のはざまで

第Ⅲ部

第八章 被害と克服へのナラティヴ・アプローチ
1 被害の心理学化
2 内在化と外在化
3 ナラティヴ・コミュニティ
4 被害と克服の新しい語法へ

第九章 臨床研究におけるナラティヴ・アプローチ
1 ナラティヴ・アプローチとは何か
2 ナラティヴ・アプローチの実際
3 「困難」を越えて

第十章 個人化する社会とナラティヴ・アプローチ
1 ナラティヴの時代
2 個人化の時代
3 個人化とナラティヴ・アプローチ
4 ナラティヴとスピリチュアリティ
5 ナラティヴ・ソサエティ

あとがき

引用文献
人名索引
初出一覧

内容説明

臨床現場から社会システムまで、ナラティヴ・アプローチが拓く社会分析の新たな可能性。

目次

序章 ナラティヴの臨床社会学
第1章 臨床のナラティヴ
第2章 社会構成主義という視点―バーガー&ルックマン再考
第3章 臨床的現実と社会的現実
第4章 サイコセラピーの臨床社会学
第5章 集団療法の臨床社会学
第6章 ソーシャルワークの臨床社会学
第7章 援助実践の臨床社会学―その課題と可能性
第8章 被害と克服へのナラティヴ・アプローチ
第9章 臨床研究におけるナラティヴ・アプローチ
第10章 個人化する社会とナラティヴ・アプローチ

著者等紹介

野口裕二[ノグチユウジ]
1955年千葉県に生まれる。1984年北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教育学部教授、社会学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

袖崎いたる

6
「臨床社会学」「ナラティヴ・アプローチ」「社会構成主義」の三視角から焦点を結ぶ試み。要するに、臨床すなわち現場で社会学に何ができるのか、古典的な手法では専門家か患者かのどっちかに寄ってしまう、それならポストモダン的手法、すなわち言語論的展開以降の方法つまりはナラティヴだ!…て感じ。自己の物語的構成に興味がある人はそこそこに楽しめるように思う。著者の臨床現場での総括の「何かをコントロールする主体=自己から何かを引き受ける主体=自己へ」ってのは宮台真司さんの「意味から強度へ」と同じじゃないかしら、とか思った。2015/06/20

富士さん

3
再読。理論をどのように現実に落とし込めるかというのがテーマ。特に核になるのが、構築主義を実践する際に必ず言われる批判に対してどう反論するかの問答集として使える3章だったりすると思います。構築主義は個人の信念の絶対性を否定するものだと誤解されがちですが、実はそれを保証するもので、重要なのは自分の信念は他人の信念と同程度に絶対で、だから自分で変えられる、という点なのだと思います。現場に居場所のない社会学が、どうすれば実務者にマウントをとれるのかという、とても下世話だけど切実な問題意識が臨床っぽくて好きです。2019/12/24

nranjen

2
だいぶ前に読んだ本。「ナラティヴって何?」まさにナラティヴ出発点にヒットして手に取った本。まさに期待通り、ナラティヴがどのように現代用いられているのか、俯瞰図を描いてくれた本。2021/02/22

まつゆう

0
臨床という形にこだわる必要があるのか、学問の貢献性を過小に限定している感も受けたが、しかし話の展開はおもしろい。バーガーなど他の~~主義などとの関連についても言及していて、すんなり腑に落ちた感じ。2016/12/01

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