出版社内容情報
従来の福祉国家論では深く問われなかった老人介護の論理と規範の根底を、比較・宗教社会学の視点から家や共同墓等を検討し問い直す。
老人介護は家族を担うというのが根強い通念であり、そのため特に子の世代に大きな負担となっている。本書はこの通念の変革を促し、老人介護を全て公的に行なうためのロジックを模索すると共に、日本に根付くための条件をスウェーデンの家や共同墓等との比較の中で考える。
序 問題設定と構成
第Ⅰ部 老人介護の根拠
第一章 老人介護の根拠の児童福祉との違い
1 <家の境界>
2 スウェーデンの老人と子供─公的サービスの意味づけの差異
3 オランダの老人福祉発展の歴史的背景
4 「福祉国家比較のジェンダー化」論
5 福祉国家と「労働力の再生産」
6 老人福祉と拡大された<家>
第二章 老人介護の最終的根拠─人格崇拝
1 経済の要請する福祉─労働力商品化の補助
2 福祉国家の正当性の調達と承認
3 規律と福祉国家
4 功利主義批判─正義論と人格崇拝
第Ⅱ部 福祉国家スウェーデンの<家>
第三章 老人介護の基盤としての<家>
1 老人扶養における家族と共同体─ラスレット仮説の批判的検討
2 ラスレットの仮説とスウェーデン家族の説明
3 親族の援助はなかったか─親族の定義の検討
4 複合家族
5 共同体概念の限界
6 福祉国家と開かれた<家>
第四章 <家>の残存の意義─人格崇拝と国家
1 「国民の家」─人格崇拝と国父
2 <家>のレトリックの起源─有機体的思考
3 農場主=家長と国父の接合
4 人格崇拝をささえるもの
第Ⅲ部 日本とスウェーデンの死と生
第五章 日本の伝統的世界観と人格崇拝
1 縁約と死後の幸福
2 祖霊への融合化
3 生まれかわり
4 無縁の聖性
5 自然霊体への融合回帰
6 共同墓
第六章 死者の追憶と共同性─スウェーデンの葬制と共同墓
1 死者と生者の関係
2 スウェーデンの火葬運動と共同墓の背景と特徴
3 万聖節での死者への灯火
4 共同墓への動機と不満
5 「私的追憶」と福祉国家化
終章 個別と普遍
1 老人介護の根拠─人格崇拝
2 スウェーデンの<家>
3 死者と生者の関係と老人介護
4 個別主義から普遍主義へ
あとがき
参考文献
索引
内容説明
従来の福祉国家論では深く問われなかった老人介護の論理と規範の根底を、比較・宗教社会学の視点から家や共同墓等を検討し問い直す。
目次
問題設定と構成
第1部 老人介護の根拠(老人介護の根拠の児童福祉との違い;老人介護の最終的根拠―人格崇拝)
第2部 福祉国家スウェーデンの“家”(老人介護の基盤としての“家”;“家”の残存の意義―人格崇拝と国家)
第3部 日本とスウェーデンの死と生(日本の伝統的世界観と人格崇拝;死者の追憶と共同性―スウェーデンの葬制と共同墓)
個別と普遍
著者等紹介
大岡頼光[オオオカヨリミツ]
1965年広島県に生まれる。1988年東京大学法学部卒業。1996‐97年スウェーデン・ウプサラ大学社会学部客員研究員。2000年大阪大学大学院人間科学研究科(後期課程)社会学専攻修了。博士(人間科学)。現在、中京大学社会学部教員
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