出版社内容情報
性の商品化、生殖技術、暴力などフェミニズムに関わるさまざまな問題の背後にある理論は、リベラリズムとフェミニズムの重なりあう論点ではないか。本書はこの立場から、今日のフェミニズムが直面している問題について考えていく。<フェミニズムの主張>シリーズはこれまで、簡単には答えの見出しにくい問題に焦点をあて、多様な角度から難題を掘り下げてきた。完結にあたり論じ残した課題に取り組む。<フェミニズムの主張>シリーズ全5巻完結。
【目次】
Ⅰ
第1章 リベラリズムの困難からフェミニズムへ
1 はじめに―リベラル・フェミニズムは存在するのか―
2 リベラリズムの批判力
3 リベラルな自己と社会の構想
4 反転するリベラリズム
5 失速するリベラリズム
6 おわりに―フェミニズムの可能性へ
第2章 集団的抑圧と個人
1 問題の所在
2 「被抑圧者集団」をどうカテゴリー化するか
3 集団的対応とその問題点
4 それでも集団を無視することはできない
5 「抑圧者」側に属する人間に何が言えるか
6 「他者」への内在的批判と対話は可能か
第3章 『女性の権利の擁護』を読み直す
1 はじめに
2 『女性の権利の擁護』における女性解放の主張
3 『女性の権利の擁護』とフェミニズム運動
4 女性解放と「徳」
Ⅱ
第4章 性の商品化とリベラリズム―内容批判から手続へ―
1 性の商品化をめぐる言論状況
2 性の商品化批判のパターン
3 なにが批判されるべきか
第5章 「性的自己決定権」批判―リバータリアニズムVSフェミニズム―
1 リバータリアニズムの蔓延
2 リバータリアニズムならばどう考えるか
3 性的自己決定権批判
4 フェミニズムの視点
Ⅲ
第6章 価値中立性と暗黙の価値前提をめぐる闘争
―フェミニズムとリベラリズムのパラドキシカルの関係―
1 はじめに
2 「身体の外的・内的条件」という観点―岡野論文をめぐって―
3 集団単位の思考の重要性と危険性―塩川論文をめぐって―
4 リベラリズムとは異なる思想伝統にフェミニズム思想の源流を探る
―岩瀬論文をめぐって―
5 「性の商品化」の規制はどこまでできるか―瀬地山論文をめぐって―
6 「性的自己決定権」という主張は成り立ちうるか―永田論文をめぐって―
7 まとめ
参考文献
索引
内容説明
フェミニズムはリベラリズムの継承者か、それとも批判者か。錯綜した関係を、集団と個人、性の商品化、自己決定権などから解く。
目次
第1章 リベラリズムの困難からフェミニズムへ
第2章 集団的抑圧と個人
第3章 『女性の権利の擁護』を読み直す
第4章 性の商品化とリベラリズム―内容批判から手続きへ
第5章 「性的自己決定権」批判―リバータリアニズムVSフェミニズム
第6章 価値中立性と暗黙の価値前提をめぐる闘争―フェミニズムとリベラリズムのパラドキシカルな関係
著者等紹介
江原由美子[エハラユミコ]
1952年生まれ/1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。現在、東京都立大学人文学部教授/社会学・女性学専攻
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