出版社内容情報
私たちは家庭を、社会や国家とは一線を画した私的領域・女性領域で、人間の再生産を担う情緒的な空間と考えてきた。だが、これは近代社会に特有なものと最近の研究によって明らかになってきている。
本書では、女性誌の言説分析、生活改善運動の解明を通し、近代国家が家庭にどのような関心を払い、関わっていたのか、そしてそれは、家庭の担い手と考えられている女性に何をもたらしたのかを明らかにする。女性の主婦化は女性と国家が向き合う道を開き、女性を見える存在にしたと結論づける。
内容説明
生活改善運動・理想的な家庭像の提示など、国家の介入は、女性を主体として立ち上げた!拓かれたもう一つの回路。
目次
第1章 家族の近代(国家の基礎単位としての家族の成立;私的存在としての家族 ほか)
第2章 家庭の成立(言説としての家庭;新中間層の登場 ほか)
第3章 家庭生活に対する国家の関心(新中間層の生活難;副業と節約・倹約の奨励 ほか)
第4章 生活改善運動がめざす家族像・生活像(展覧会を通した生活に対する視線の形成;生活改善同盟会が語る近代家族像 ほか)
第5章 家庭から政治へ(女性委員の登用;消費経済への女性の動員 ほか)