内容説明
中絶と避妊をめぐる世界と日本の現状を明らかにし、女性の健康と権利を重視する立場から日本の中絶の医療、法、倫理を考えるための新たな視点を提示する。
目次
1 生殖コントロールの科学と技術(胎児の可視化と妊娠の科学;避妊の技術とその変遷;中絶の技術とその変遷)
2 日本における中絶の現状(生殖コントロールをめぐる日本の状況;日本における中絶の法と政策)
3 リプロダクションをめぐる規範と倫理(人権としてのリプロダクティヴ・ヘルス&ライツ;欧米における中絶の倫理;日本における中絶の倫理)
著者等紹介
塚原久美[ツカハラクミ]
1961年生まれ。翻訳・執筆業での活動を経て2009年金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、放送大学等非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いちろく
23
今の日本で、報告されているだけでも年間20万件以上。交通死亡事故の数よりも、自殺者の数よりも多いのである。個々に様々な事情があるのだろうけれど、読んでいてコトバが出てこなくなる時も正直あった。実際、知識と相手への思いやりでその数を減らす事が出来るのだから。表立って言いにくい事、伝え難い事もある。それでも、必要な事は必要な時に必要な人に伝えなければならない。特に、男性は知っておかなければならない事がある。2015/08/10
まやま
2
ポッドキャストSight radio で著者の塚原久美さんのインタビューを聞き、日本の中絶技術が世界の標準とかけ離れたものになっている現状に衝撃を受け、この本を手に取った。著者の博士論文を基にした著作だが、よく整理されており、リプロダクティブ・ヘルス&ライツを概観することができる良書である。この問題を知れて良かったと思う。2020/08/23
はるさむ
1
”日本において、中絶医療にまつわる問題群があることはもはや明白であろう。日本の中絶医療は「ガラパゴス化」している。少なくとも世界の中絶技術の主流とは全く別に発展してきたことは間違いない。その底には、指定医制度で保護された医師たちの都合が優先され、女性をケアするという観点を軽視した中絶医療が改善されないまま長年用いられてきたという問題がある。”2016/12/13