「問い」としての公害―環境社会学者・飯島伸子の思索

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「問い」としての公害―環境社会学者・飯島伸子の思索

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  • サイズ A5判/ページ数 245,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326602643
  • NDC分類 519
  • Cコード C3036

内容説明

「公害」像の矮小化に抗う。「公害」はつねに、高度経済成長の「影」と形容されてきた。しかし、「公害」という得体の知れない脅威を全身で感じてきた人びとが続けた無数の思索は「影」ではない。その意味で、「公害」は、人間の人間に対する問いかけである―。苦悩の底から吐き出される声に耳を澄ませてきた飯島伸子(1938‐2001)の軌跡を通じ、「公害」の歴史を生きたものとして再想像する。

目次

序章 「問い」としての公害
第1章 「公害」「環境」概念の系譜
第2章 「社会学」は「公害」を把握しうるのか
第3章 「社会学」はいかにして「被害」を証すのか
第4章 「美容の社会学」はなぜ環境問題研究か
第5章 「環境社会学」の形成と制度化―「地球環境」の磁場のなかで
終章 問いかける「公害」―人間を基点とした環境論を

著者等紹介

友澤悠季[トモザワユウキ]
1980年神奈川県生。2013年京都大学大学院農学研究科博士課程修了、博士(農学)。現在、立教大学社会学部プログラムコーディネーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Nさん

2
環境社会学のパイオニア飯島伸子の研究を辿り、公害と環境の概念の再考を促す力作。環境問題という大きな概念の一部に内包され、もはや過去のものとされがちな「公害」概念。被害とは目に見えるものに限らずもっと複雑なもの。しかし、数値や金銭のみにしか還元されないという現実。飯島を動かしたのは生の声を通した被害者(と加害)へのまなざしだった。学問の枠を超えて災害に向き合う有志たち(災害分科会)の中で揉まれ、学術(社会学)が公害をどのように捉え有るのかを問うた。実践性を重視する「環境社会学」の原点を確認できた気がする。2018/05/10

menocchio

0
環境社会学の草分けとされる飯島伸子の思索の軌跡を辿る。一人の研究者に焦点をあて、「公害」「環境」概念を問い直すというのは面白いアプローチだと感じた。多岐にわたる取組を丹念に追うことで見えてきたのは、<公害から環境へ>という時代の流れのなかで、「環境」という便利な言葉が覆い隠してしまうものにこだわりつづけた飯島の姿だった。「被害」に着目し、公害から労災・職業病、薬害を地続きに考える彼女独自の視点は、生身の人間の苦悩に寄り添い、部外者には見えにくい被害の広がりを明らかにしようとするものだった。再考すべき課題。2016/09/07

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