南部メキシコの内発的発展とNGO―グローカル公共空間における学び・組織化・対抗運動

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  • サイズ A5判/ページ数 355p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326602148
  • NDC分類 309.025
  • Cコード C3036

出版社内容情報

世界中でネオリベラリズムが進行するなか、ラテンアメリカでは西欧・アジアと異なる形で新しい市民社会が形成されつつある。オアハカ州を例にメキシコ南部で勃興しつつある小農・先住民族と現地市民社会のネットワーク化による新しい公共空間の形成過程を、知識人・運動家の「記憶」、運動主体間の相互作用と連関のなかから描き出す。

[関連書]同著者編著 『共生時代の地域づくり論』(農林統計出版)

はじめに

序章 本書の射程と南部メキシコという文脈
 1.内発的発展とポスト開発論に関する概念整理
 2.本書の射程と構成
 3.いくつかのキーワードと分析的視点
 4.メキシコおよびオアハカという文脈
 5.用語表記に関する補足

     第Ⅰ部 個々人と時代との対話・交渉

第1章 脱プロ知識人とポスト開発思想
 1.はじめに
 2.ポスト開発思想の歴史的背景
 3.エステバの遍歴:
   開発のエリートからポスト開発活動家への道のり
 4.ポスト開発思想の世界観
 5.南と北の人々に求められるもの
 6.考察と議論
 7.むすび

第2章 女性活動家の遍歴と政治空間
 1.はじめに
 2.テワンテペック地峡の政治地理
 3.ある女性活動家の遍歴と証言
 4.むすび

第3章 フェアトレードの父の思想と哲学
 1.はじめに
 2.方法論と目的
 3.イスモ地域先住民族共同体組合(UCIRI)の概要
 4.ヴァンデルホフの個人史と思想・哲学
 5.考察
 6.むすび

第4章 農民・女性・青年の「学び」から
 1.はじめに
 2.教育と学びに関する2つのテーゼ
 3.非・不定形の「学び」の展開:
   農民・女性・若者へのインタビューから
 4.考察
 5.むすび

第5章 知識人の対話から実践へ
 1.はじめに
 2.イヴァン・イリイチについて
 3.エステバの「語り」におけるイリイチとオアハカでの実践
 4.むすび

     第Ⅱ部 ローカルNGOと市民社会の諸相

第6章 迫られる変化と運動の動機
 1. はじめに
 2. 農家直接支払制度にみる政府と住民の「距離」
 3.『女の町フチタン』の今
 4.むすび

第7章 ローカルNGOと市民社会,そして政府
 1.はじめに
 2.教会系NGOの発達と社会運動
 3.農村ラジオ局によるアイデンティティ戦略
 4.カタリストとしての農村青年NGO
 5.政府とNGOの関係の二面性
 6.むすび

第8章 グローバル化への反応と矛盾
 1.はじめに
 2.構造調整とコーヒー生産者組合
 3.PPP反対運動とローカルNGO
 4.むすび

終章 内発的発展・知識人・NGO
 1.はじめに
 2.新しい社会運動の遺産と新たな展開
 3.ローカルNGOの評価
 4.社会変革における人的資源としての知識人達
 5.むすび:運動としての内発的発展論と対抗的政策論

補章 複眼的なリアリティの捉え方に関する試論
 1.はじめに
 2.本書が提示した主体形成論と権力関係論
 3.社会構造と行為主体の関係という命題
 4.実証主義と解釈主義の関係という命題
 5.リアリティ理解のための様々な社会科学的営為
 6.むすび

文献一覧
あとがき
人名・事項索引

内容説明

社会運動としての内発的発展論を再評価し、ネットワーク化による公共空間形成の動態的把握を試みる、新たな社会理論の精緻化へ向けた意欲的実証研究。

目次

本書の射程と南部メキシコという文脈
第1部 個々人と時代との対話・交渉(脱プロ知識人とポスト開発思想;女性活動家の遍歴と政治空間;フェアトレードの父の思想と哲学 ほか)
第2部 ローカルNGOと市民社会の諸相(迫られる変化と運動の動機;ローカルNGOと市民社会、そして政府;グローバル化への反応と矛盾)
内発的発展・知識人・NGO
複眼的なリアリティの捉え方に関する試論

著者等紹介

北野収[キタノシュウ]
日本大学生物資源科学部准教授。1962年東京都生まれ。コーネル大学大学院修士課程および博士課程修了、Ph.D.取得。民間調査機関、中央官庁勤務を経て現職。専攻:地域開発論、NGO研究、社会運動論。日本国際地域開発学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。