出版社内容情報
日本の植民地統治は台湾社会に何をもたらしたのか。加害・被害の究明や善悪の評価ではなく、植民地社会の文脈の内側からその軌跡を解読しようとする視角からの台湾社会論。台湾人社会の主体性=家族戦略と植民地権力のせめぎあいの中に「新女性」の存在を析出する。「新女性」とは1920年ごろから現れてきた女性たちの呼称。纏足を解き、日本による新式教育を受け、主として高等女学校卒業生から構成される。新女性の誕生、植民地女子教育の展開、新エリート家庭の形成、婚姻形式の変化などを追いながら、植民地社会の変容を明らかにする。
【目次】
序章 台湾女性史の構築
1 問題の所在
2 台湾女性史研究のアプローチ
3 本書の課題と意義
4 本書の構成
Ⅰ 「新女性」の形成
第1章 解纏足運動
1 台湾における纏足状況
2 統治サイドからみた解纏足
3 士紳サイドからみた解纏足
4 新女性像の見聞
5 改造作業
6 解纏足論の中の新女性像
7 女性サイドからみた解纏足
第2章 植民地女子教育の展開
1 統治側の植民地女子教育観
2 台湾家庭の女子教育観
3 国語の重要性
4 在来色の加減 5 発展と受動性と限界
6 就学にともなう女性の変化
第3章 「新女性」の誕生
1 統治側の女子教育方針の転換
2 台湾社会の女子教育観の変化
3 女子教育世代の誕生
Ⅱ 「新女性」の位相
第4章 婚姻様式の変容
1 恋愛結婚論の登場
2 恋愛結婚論の基本構図
3 恋愛の社会問題化
4 新しい婚姻様式の形成
第5章 運動参加への制限
1 「新女性」をめぐる争奪戦
2 組織化の試み―彰化婦女共励会―
3 「保守―改革」の対立―彰化恋愛事件その1
4 「協力―抵抗」の対立―彰化恋愛事件その2
5 婦人組織の存在形態
第6章 新エリート家庭の形成
1 新エリート家庭の理想像
2 新エリート層の家庭生活と妻役割
3 母役割
4 嫁役割
5 植民地政治と女性の役割
終章 台湾近代史との対話―「新女性」が語るもの―
1 「新女性」誕生の規定要因
2 「新女性」誕生の社会的影響
3 「新女性」の近現代史的意義
注
あとがき
資料・参考文献
索引
内容説明
纏足を解き、新式教育の洗礼を受けた高等女学校卒業生たち―「新女性」の誕生と位相を軸に、台湾社会の構造的変動の過程を追う。
目次
台湾女性史の再構築
1 「新女性」の形成(解纏足運動;植民地女子教育の展開;「新女性」の誕生)
2 「新女性」の位相(婚姻様式の変容;運動参加への制限;新エリート家庭の形成)
台湾近代史との対話
著者等紹介
洪郁如[コウイクジョ]
1969年台湾彰化県生まれ。1991年台湾大学法学院政治学系卒業。2001年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。学術博士
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