出版社内容情報
マックス・ヴェーバーは自由やリベラリズムをいったいどのように考えていたのか。長らく愚問とされてきた「ヴェーバーはリベラリストか」という問いの現代的意義。
市場経済における適正な財の配分や「公正としての正義」を追求する、現代リベラリズム論からは過去の人に見えるヴェーバー。言及されることの少なかった、彼のナショナリズム論、宗教的自由論、民主主義論、ユダヤ人観を分析しながら、ヴェーバーがこだわり続け、「未来形」で捉えていた古典的な精神的自由や平等の意味の現代性を間う。
序章 ヴェーバーにおける自由とリベラリズム
第一章 心情倫理と責任倫理:ヴェーバーにおける
ナショナリズムとリベラリズム
第一節 心情倫理と責任倫理の意味
第二節 心情倫理と責任倫理の形成過程
第ニ章 平和主義とヴェーバーの価値自由論
第一節 ノルトベックの平和論:「愛国」の今一つの形
第二節 ヴェーバーにおけるキリスト教平和主義批判の根拠:「二つの律法の間」
第三節 神々の闘争・価値自由とリベラリズム:ミル、シュミット、シュトラウス
第四節 シュミットとシュトラウスへのヴェーバーの「反論」
第三章 ヴェーバーにおける「世界政策」
第一節 ヴェーバーの政治的手法
第二節 「世界政策」の意味
第四章 ヴェーバーにおけるリベラリズムの意味
第一節 ヴェーバーのリベラリズムの直接的な用法について
第二節 人権思想・宗教的寛容について:ヴェーバーにおけるリベラリズムの起源
第三節 リベラリズムと民主主義の相克をめぐって
第五章 官僚制とリベラリズムの相克
第一節 官僚制の語源と意味
第二節 ヴェーバーにおける官僚制
第三節 近代官僚制の病理:ヘーゲル、マルクス、そしてヴェーバー
第四節 ヴェーバーの官僚制批判:マルクスの官僚制批判との比較から
第五節 官僚制の統制と自由
第六節 指導者民主制の構想:幻の正統的支配の四類型と政治改革
第七節 ヴェーバー以降の官僚制の問題
小括
第六章 ヴェーバーのユダヤ人観と人権感覚:シュミットの
ユダヤ人観との比較において
第一節 ヴェーバーのユダヤ人観:特に「パーリア概念」をめぐって
第二節 ヴェーバーのパーリア概念への批判の検討
第三節 シュミットのユダヤ人観
第四節 ヴェーバーとシュミットのユダヤ人観の差異とその要因:学問観、人権観、啓蒙観
終章 ヴェーバーのリベラリズム論と現代世界、そして日本
注
付論:書評・文献紹介
あとがき
人名索引
内容説明
マックス・ヴェーバーはリベラリストだったのか。戦後日本のヴェーバー研究上、長い間愚問とされてきた問いに正面から答える。
目次
序章 ヴェーバーにおける自由とリベラリズム
第1章 心情倫理と責任倫理―ヴェーバーにおけるナショナリズムとリベラリズム
第2章 平和主義とヴェーバーの価値自由論
第3章 ヴェーバーにおける「世界政策」
第4章 ヴェーバーにおけるリベラリズムの意味
第5章 官僚制とリベラリズムの相克
第6章 ヴェーバーのユダヤ人観と人権感覚―シュミットのユダヤ人観との比較において
終章 ヴェーバーのリベラリズム論と現代世界、そして日本
著者等紹介
佐野誠[サノマコト]
1954年兵庫県に生まれる。1986年京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。1997年京都大学博士(法学)。現在、奈良教育大学教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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