出版社内容情報
現在憲法学が取り組むべき自由主義の多義性や多目的性という課題を,フランスの代表制や個人の地位などの問題に対する「ジャユバン派」の批判をもとに再検討する。
【目次】
序
1 ジャコバン主義解剖学のために
2 ジャコバン主義における近代性と懐古主義
3 諸問題の検討の順序
第1章 革命的な主権―刷新と遺産―
はじめに 主権モデルの呪縛
Ⅰ ボダンにおける主権、およびその諸帰結
Ⅱ 穏健派の試み 人民主権の中立化
Ⅲ 公安委員会による人民と政府の融合....新たな絶対主義
第2章 代表の理念
はじめに 多形的な観念
Ⅰ シエース 諸論理の衝突
Ⅱ ホッブスの人工論的パラダイム 弱い人間が、ひとりの強力な代表者
を自らつくる
Ⅲ ジャコバン主義 「受任者」に対する異議申立てから新たな形態の代 表者へ
第3章 世論と正当性―ジャコバン的解釈―
Ⅰ 正当性の付与に与る民主主義的世論
Ⅱ 人民協会に対する革命権力
Ⅲ レーデラー 世論を作り出す人々の理論
第4章 徳・利益論争におけるジャコバン主義
Ⅰ 穏健派の観点 法律によって保護される利益
Ⅱ サン・ジュスト 立法者の全能か無能か?
Ⅲ ルソー 徳と法律の関係
結論
1 国家のジャコバン主義 人民の代表
2 行為のジャコバン主義 世論の統一性
原注
補遺 自由主義の誕生、レーデラー、そしてジャコバン主義に対する他の選
択肢の模索
Ⅰ 国民の多数者、それが形成される仕方、それを認識しうる手段、そし
て世論の理論について
Ⅱ 代表統治論
Ⅲ 「公共経済、道徳、政治新聞」― レーデラーの発行―
参考文献
訳者あとがき
人名索引
内容説明
「自由主義」とは何か。フランス政治思想史研究の第一線をリードする著者による解明。ヨーロッパ統合と国家主権のきしみ合いに対面する今日の思想状況をふまえて、大革命から19世紀自由主義の諸系譜への流れをあらためて逆照射する。いま、市場の自由・規制緩和・グローバライゼーション…のかけ声のもとに漂流する「自由主義」像を再考する手がかりを、日本の読者にも提供する労作。
目次
第1章 革命的な主権―刷新と遺産
第2章 代表の理念
第3章 世論と正当性―そのジャコバン的解釈
第4章 徳・利益論争におけるジャコバン主義
結論
補遺 自由主義の誕生、レーデラー、そしてジャコバン主義に対する他の選択肢の模索