出版社内容情報
心的事象を哲学的に分析する「道徳心理学」のわが国最初の成果。価値判断から行為へ至るための「動機付け」が孕む問題を解く。
責任は人という存在だけに帰せられる。責任の条件をすべて列挙することは難しいが、その条件の一つに「自由」がある。本書は責任の概念を、憤激、恨み、感謝、賞賛等の心情とからめて分析し、やがて責任に必要な自由をめぐる複雑な様相に進む。本書の場合、実は内容の要約はほとんど意味がない。叙述の細部こそ命だから。
関連書:ヘア『道徳的に考えること』(小社刊)
Ⅰ 責任
第一章 ストローソンの責任概念
1 責任概念とその解明法
2 反応的心情
3 ストローソンの責任論
4 対人的関係
第二章 責任とは何か
1 反応的心情の「適切さ」
2 責任とは何か
第一部注
Ⅱ 自由をめぐって
第三章 「別の行為も行うことができた」ということ
1 自由の必要性
2 コントロールとしての自由
3 別<行為>可能性
4 因果的決定論と別<行為>可能性
5 別<行為>可能性は必要か?
第四章 意志の実現
1 仮意志実現説
2 再び、重複決定
3 意志実現説
4 意志とは何か
5 意志が実現されれば、それで自由か?
第五章 「別の意志ももつことができた」ということ
1 自由意志説
2 因果的決定論と自由意志説
3 別<意志>可能性は必要か?
4 自由意志説からの反撃
5 やはり別<意志>可能性は必要ではない?
第六章 本心の実現
1 本心実現説
2 「本心」とは何か
3 意志の弱さ
4 「本心ではないけれど本心に背いているわけではない意志」の実現
第七章 通時的コントロール
1 通時的コントロール
2 責任転移の関係
3 通時的コントロールを含めたコントロール
第Ⅱ部注
Ⅲ 合理的<実践>能力と自由
第八章 合理的<実践>能力
1 価値判断に応じて意志を生み出す能力
2 欲求や意志と信念の区別
3 合理的<思考>能力と思慮
4 実践合理性
5 合理的<実践>能力
6 合理的<実践>能力の存在
7 ディスポジションとしての合理的<実践>能力
第九章 自由(コントロール)の解明
1 合理的<実践>能力の行使としてのコントロール
2 「合理的<実践>能力をもっている」ということ その1
──合理的<実践>能力が覆い隠されているケース
3 「合理的<実践>能力をもっている」ということ その2
──心理的強制と意志の弱さ──
4 合理的<実践>能力の発揮とその失敗
5 責任に必要なコントロール
第Ⅲ部注
あとがき
文献表
索引
内容説明
「動機付け」の哲学的分析。ある行為を行うべきか否かという価値判断が、どのようにして行為そのものへとつながり、あるいはつながらないのか。責任と自由をテーマに考える。
目次
1 責任(ストローソンの責任概念;責任とは何か)
2 自由をめぐって(「別の行為も行うことができた」ということ;意志の実現;「別の意志ももつことができた」ということ;本心の実現;通時的コントロール)
3 合理的“実践”能力と自由(合理的“実践”能力;自由(コントロール)の解明)
著者等紹介
成田和信[ナリタカズノブ]
1956年東京に生まれる。1987年慶応義塾大学文学研究科博士課程単位取得退学。1992年ミネソタ大学哲学科博士課程修了1999年Ph.D取得。現在、慶応義塾大学教授
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