出版社内容情報
パースがその上に哲学的諸科学を基礎づけた「現象学」に焦点をしぼる。現象学は日常的共通経験の世界を直接観察し記述し分析し「分析不可能な要素」を発見する科学である。
存在一般の基本的、究極的 「あり方」を求める現象学。
そのうえにパースは全ての科学の基礎学=哲学を
構想する。
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【目次】
第1章 現象と現象学
第2章 カテゴリー論
第3章 諸科学における三分法
第4章 数学の論理
― 一項態、二項態、三項態 ―
第5章 普遍的カテゴリー
第6章 三種類の正当性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
直観もまた論理である。著者は全てを推論過程とすれば哲学もまた厳密科学となると考える。それゆえ、一切を心的なものを現象と解する著者の現象学は、実在の科学でも心理学でもなく心的な推論過程の学であり、それは一般的諸カテゴリーに分類できる。著者はこれらを第一性、第二性、第三性に区別し、三者関係の論理学を作る(多項態は三項に還元可能)。こうして本書は、現象から数学の論理を経て三項のカテゴリーの正当性に及ぶ諸断片の円舞曲さながらの連続性の哲学を提起する。瞬間も直観もこの連続性(シネキズム)においては偽装か錯覚なのだ。2017/07/12