出版社内容情報
長火鉢、天神祭、路地に漂うにおい。下町に育った著者が経験した幸せな生活と全てを奪い去った戦争。今改めて読みたい平和への祈り。
内容説明
家族の愛と、下町の人情の中で成長したかよ子の幸せを戦争が…。海老名香葉子の自叙伝。
著者等紹介
海老名香葉子[エビナカヨコ]
1933年東京・本所の江戸和竿「竿忠」に生まれる。1945年3月9日の東京大空襲で兄ひとり以外の家族6人を失う。18歳のときに落語家の林家三平と結婚。三平師匠逝去後はテレビのコメンテーター、エッセイスト、講演活動など幅広く活躍、林家一門を支えている
千葉督太郎[チバトクタロウ]
1940年東京・葛飾生まれ。都立工芸高校図案化卒業。小島功氏のもとで漫画を学ぶ。新聞・雑誌を舞台に鋭い風刺とユーモアに富んだ一コマ漫画を発表しつづける。また書籍の挿絵や装丁などでも活躍。第10回日本漫画家協会賞、第30回文藝春秋漫画賞を受賞した。2012年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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空猫
32
戦前の下町での庶民の暮らしぶりと共に描かれた体験記。両親と祖父母、四人の兄弟、親類、友達、、多くの人々に見守られ、助けられ、、と、日本の古き善き時代の描写が続いた。著者は林家正蔵、三平サンのお母さん。1933年、東京 本所生まれ。もう戦争の足音が聞こえる頃だ。そしてあの東京大空襲の生き残りでもある。昔、アニメ化された作品を観たな。テレビでもっと、いや3月10日には必ず放映される事を願う。 2023/03/23
マツユキ
15
アニメ映画の存在は知っていましたが、読むのは、初めて。作者の子供時代のエッセイで、今とは違う生活が新鮮。まず、主人公の家が代々続く竿師(釣竿職人)、曽祖父はパリ博覧会に和竿を出品、というのに、驚く。華やかだけど、丁寧に、愛情深く、暮らしていた一家で、子供たちの色んなエピソードを楽しく読んでいたんですが、戦争の影響も色濃くなり、やがて…。この人々、この風景も、戦争でなくなってしまった。かよ子さんの悲しみと心の強さに、感動しました。2022/09/21