内容説明
父の転勤で、少年はアメリカの小学校に転校する。少年の名は響。英語がわからず、友だちもいないので、最初はとまどいながらも、新たな生活がはじまる。ある日、家の裏庭に続く森で、響は不思議な少女に出会う。少女は何も話さず、笑顔で見つめるだけ。名前をたずねると、一輪の花を手渡す。それが彼女の名前、デイジー。その後も、響はデイジーに会うようになり、森の動物とふれあいながら、彼女の優しさに心ひかれていく。だが、デイジーには、思いもよらない秘密があった…。
著者等紹介
小手鞠るい[コデマリルイ]
岡山県備前市生まれ。同志社大学法学部卒業。1993年「おとぎ話」で第12回「海燕」新人文学賞、2005年『欲しいのは、あなただけ』で第12回島清恋愛文学賞、2009年原作を手がけた絵本『ルウとリンデン 旅とおるすばん』でボローニャ国際児童図書賞を受賞。ニューヨーク州ウッドストック在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
72
「エンキョリレンアイ」の著者、小手鞠さんが描いた可愛くて、温かくて、素敵な少年の夢物語です。主人公はボク、名前は響〈ヒビキ〉、齢は12歳(小学6年生)。ボクには二人のおばあちゃんがいます。優しいおばあちゃんと、病気で死んでしまったお母さんに代わって、ボクを育ててくれた、力持ちのおばあちゃんです。お父さんの転勤でアメリカへ渡ったところから話はスタートします。クラスの日本人は響君だけなのに、くじけず明るく頑張る響君が頼もしく見えます。夢に立ち向かう少年の心温まる素敵な物語です。森の中で佇む少年の表紙が秀逸。2016/01/19
けろりん
68
酒井駒子さんの装画に惹かれて手に取った本です。草木が生い茂る、鬱蒼とした森。様々な色合いの緑が重なり合い、木漏れ日をまとい、万華鏡のように変化する森の中で、孤独な少年は、物言わぬ少女に出会います。お父さんの転勤で、アメリカに引越して来たばかりのヒビキの日常は、デイジーと意思疎通をはかりたいと、懸命に努力することで、輝きと豊かさを増して行きます。二人で見上げる青空、動物たちの営み、巡る季節。友情と美しい思い出が育んだ心の森は、しっかりとヒビキの胸に根を下ろし、その後の彼の人生を強固に支え続けることでしょう。2021/10/31
はる
68
優しさと切なさと。シンプルなお話ですが良かったです。ラストの少女の想いが何ともいえず胸に迫ります。ただ、この物語を魅力的に感じさせれるのは、やはり酒井駒子さんの装丁画の素晴らしさでしょう。改めて絵の力を痛感します。最後までこの絵のインパクトに引っ張られるようにページを繰りました。2016/01/04
ヒロ@いつも心に太陽を!
68
駒子さんの表紙絵に釣られた一冊(-∨-*)いやらしい言い方をすれば「すぐに先が読める展開」のお話だったが、言葉から脳裏に浮かぶ景色はとてもキラキラとしていて美しかった。でも響と同じ小六が読むには少し物足りなくないかな?読書感想文の課題図書だったとのことだが、私なら原稿用紙2枚も感想を書く自信がない・・・。デイジーの死に関して最後は綺麗にまとめてしまっていたし、小学生はこの死についてどうとらえるんだろ?いい話でもとりたてて読み返すほどでもない、と感じるのは私がオトナになってしまったからだろうか(´△`*)2013/05/16
ぶんこ
65
こちらを読む1冊前の本の表紙がイマイチだっただけに、この表紙絵の素晴らしさが際立ちました。 この絵を見てから本を読み始めたので、森の場面では頭の中に森の風景や匂いまでが感じられました。 父の転勤でアメリカにきた響君が、森の中で妖精のようなデイジーと出会い、別れを経験するまで。 小学校6年生というよりは4年生くらいの印象ではありましたが、純な感性の響君とデイジーと動物達の日々がイキイキとしていて、自然と共存しているアメリカの生活を羨ましく思いました。2016/01/15