内容説明
午後9時。こども電車の最終電車が発車する。こども電車はこどもの夢や希望を運ぶ電車。こどもならだれでも乗れるはずなのに、いつしかこども電車に乗れなくなる子がいる。本当の自分をいつわっている子。心に傷を負っている子。こども電車は今日も走り続ける。一人でも多くのこどもを乗せるために。
著者等紹介
岡田潤[オカダジュン]
水墨画家(呉斉旺に師事)。静岡県生まれ。東京デザイナー学院卒業後、アニメーター、広告代理店勤務を経てイラストレーターに。2001年より水墨画家として花と子ども、日本の四季、年中行事、伝承などをテーマに活動している。一枚の水墨画を描き、そこから物語を生みだし、ふくらませていく手法で小説を創作。『こども電車』が作家デビュー作となる。現在、潤墨会水墨画教室講師、小学校での水墨画体験教室で講師を務めている。東京都小平市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
59
5年生にもなれば心の秘密を抱えることもある。大人になってしまえば、善意も悪意も含めて、ここまで純粋な心のドラマはなくなってしまうのだろう。夢の中に現れる「こども電車」は、それを信じる子どもだけが本音で交流できる場所なのだろう。自分のために、友だちのために、みんなのために一生懸命になれる場。現実を何とかしたい熱意が、閉ざされた心を導く。教室では「雨ニモマケズ」を読むが、夢では銀河鉄道、いや、やっぱりこども電車がいい。あえて宮沢賢治をなぞらず、「孤独なジョバンニ」を救い、クラス全部の夢が現実を変えていく。2024/01/31
assam2005
31
ここに描かれているのは、どこにでもいる普通の子供達。根は素直だけれども、ちょっと臆病で、自分の気持ちをまだ上手に周りに伝えることの出来ない小学5年生達。彼らは方向さえ間違えなければものすごいパワーの持ち主。その彼らが方向を誤ると、団結したパワーはブレーキ知らずの暴走列車。それでも衝突し、相手の痛みを理解して、共に立ち上がる事ができるのは素晴らしいこと。これができるのは子供だからこそ。大人は絶対に出来ない。(苦笑)改めて「子供には可能性がある」という意味を考えてしまいました。2017/05/21
銀河
25
小学校高学年向け課題図書。5年1組が団結するまでを描いたいい話でした。様々な問題を抱えた子どもがたくさん出てくるから、どんなお子さんでも、「この子、自分に似てる」と誰かに重ねて読むことができると思います。いじめ問題、小さい時のトラウマ、病気、たくさん詰め込んで解決はあっさり。児童書をあまり読まないので自信はないけど、今までに読んだ課題図書の中では伝えたいことがわかりやすくよかったと思います。2011/08/22
きんてつ
24
小5の娘オススメ本。最近、私とお気に入り図書館に通う様になり、本を薦めてくれました! 五年一組の生徒たちが夢の中で こども電車に乗り、自分を見つめ、友達を見つめ成長していくお話!面白かったと言いたいですが、娘とケンカ中の為止めておきます( ̄~ ̄;)2014/09/14
Naomi
18
平成23年課題図書。子どものときにだけ乗れる「こども電車」大好きなものの世界で思い切り楽しめる夢いっぱいのお話。冒頭は、時間軸とかがゴチャゴチャしていて、捉えにくい印象です。登場人物や設定がわかってきて、だんだん物語の世界に入り込めました。クラスで起きた出来事に、5年1組全員で向き合っていく感動ストーリーでした。2020/08/10