内容説明
長い長い間、一羽もすがたを見せなかったたんちょうづるが群れをなしてきた―。はたして、そのわけは…?
著者等紹介
安房直子[アワナオコ]
1943年、東京生まれ。日本女子大学国文科卒業。『さんしょっ子』で日本児童文学者協会新人賞、『風と木の歌』で小学館文学賞、『遠い野ばらの村』で野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』で新美南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで 小夜の物語』でひろすけ童話賞など数多くの賞を受けた。1993年逝去
いもとようこ[イモトヨウコ]
兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学油画科卒業。『ねこのえほん』『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞。『いもとようこのうたの絵本1』で同グラフィック賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
77
お話絵本。読み聞かせには長い。▽猟師の長吉が結婚した晩、見知らぬ女性が一枚の空色の皿を持ってきた。長吉は殺してしまった鶴の呪いかもしれないと最初恐れたが、皿に盛ると食べ物か美味くなり、家は栄えた。長吉が亡くなると、空色の皿に1羽の鶴が現れた。一族の誰かが亡くなると皿に鶴が現れた。多くの家族が亡くなり、皿は鶴でいっぱいになる。最後に残った孫娘の春子の結婚式の朝、皿が割れてしまい…▽不思議なお話。2021/03/25
はる
68
ああ、この物語は以前文庫本で読んだとき、とても印象に残っていました。誤ってたんちょうづるを撃ち殺してしまった猟師の男。その婚礼の夜、男の家に不思議な娘が訪れる…。安房さんの物語は深い。単純に「こうしたから、こうなった」という図式ではないんですね。もっと複雑な余韻を残す。可愛さを抑えた、いもとようこさんの絵もとてもいい。2021/04/02
ヒラP@ehon.gohon
24
考えると空恐ろしい物語です。 禁猟であったタンチョウヅルを誤って撃ち殺してしまい、罪を隠すために土に埋めた長吉の行為は、許されることではないのかも知れません。 それにしても、長吉の婚礼の日に、大皿を届けた女性の真意を想像すると、怨念の奥深さには身のすくむ思いです。 長吉と嫁から始まる係累の一人が亡くなるたびに、大皿の上に鶴が登場して、次第に増えていきます。 一族が全員途絶える一歩手前で、事態が急変しました。 大皿が床に落ちて割れたのです。 2022/08/04
おはなし会 芽ぶっく
22
安房直子さんと、いもとようこさんのシリーズ。猟師の長吉が結婚した晩、見知らぬ女が1枚の青い大皿を祝いにとやってきた。姿を消した女は、数日前長吉が撃ってしまったつるではないか?真っ新な青い大皿はつるの恨みがあるのだろうか?それとも本当に祝いの品なのか?悲しい出来事が大皿を変えていきますが、ラストは人生の喜びを表しています。安房さんの『鶴の家』より。2021/03/22
みよちゃん
16
つるのおんがえし的な話しを想像していたが、ちょっと違っていた。青いお盆につるが増えていく、実は家族が亡くなるたびに増えていく。幻想的でもあり、寂しい気持ちで読了。2021/04/04