内容説明
「もぐらのほったふかい井戸」はふかいふかい井戸くらいふかいふかいお話です。大人が読むと、もっともっとふかいかもしれません。
著者等紹介
安房直子[アワナオコ]
1943年、東京生まれ。日本女子大学国文科卒業。『さんしょっ子』で日本児童文学者協会新人賞、『風と木の歌』で小学館文学賞、『遠い野ばらの村』で野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』で新美南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで 小夜の物語』でひろすけ童話賞など数多くの賞を受けた。1993年逝去
いもとようこ[イモトヨウコ]
兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学油画科卒業。『ねこのえほん』『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞。『いもとようこ うたの絵本1』で同グラフィック賞受賞。2015年パリとボローニャで絵本原画展を開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
18
いもとようこさんの可愛い絵だが、絵本というには難しい内容か。もぐらのモグ吉は、拾った銀貨で土地を買い、そこに井戸を掘る。作者が伝えたい事はなんだろう。欲をかいてはいけないのか、欲で大切な物が見えなくなってしまったか…。2021/01/04
うとうと
17
賢い子もぐらのモグ吉は地主から風呂敷1枚分ほどの土地を買い、そこに長い年月をかけて深い井戸を掘る。掘っているあいだに大人になったモグ吉は井戸から汲み上げたおいしい水で商売を始める。/畑の仲間たちにおいしい水を、という当初の目的は、長く孤独な作業のあいだに忘れてしまったのかな。怪我をした子どものねずみにも優しくなれなかったのが悲しい。切ないストーリーにいもとさんの絵が可愛すぎる気がする。2023/02/21
マツユキ
17
いもとようこさんによる安房直子さんの絵本シリーズ。 賢いもぐらの子が、手に入れたお金でやった事は…。 一生懸命頑張って、手に入れたけど、見えなくなっていたもの。切ないですね。深い。2020/03/05
Cinejazz
16
<モグラが何年もかけて掘った、深~い、深~い井戸>をめぐるお話しは、読み聞かせる大人の心の襞にジワジワとしみわたる深~い意味合いのこもった絵本です。若い頃の夢と野心、年齢とともに変容する欲望、夢と現実の狭間で悶える葛藤など、読む人それぞれの人生の思惑が交錯する味わい深い童話です。 <いもとようこ>さんの絵も素晴らしい!2021/12/04
遠い日
15
たったひとりで掘り、完成させただいじな井戸。当初の思いとはかけ離れた存在になってしまったことを、自分都合で理屈を通してしまうもぐら。どんなに人にもある、成長と変化だが、柔軟性を失ったもぐらの思考が破滅を招く。私利私欲に負けて、やっと悟ったことは死の瞬間。悲しく、それでも、やっと気持ちがほろほろとほどけた時の軽さが救い。2020/02/27