出版社内容情報
北の孤島チロヌップで、与平の娘さくらときつねのチロは、きょうだいのように暮らしていました。しかし、さくらの死によって…。好評の『チロヌップのきつね』『チロヌップのにじ』に続く詩情豊かな絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
><
21
初版1986年。キツネのチロと女の子さくら。ずっと一緒に育ってきた二人の間には、計り知れない絆がある。さくらが亡くなった後も、ずっとそばにいたチロ。チロの健気な姿は、心打たれます。2014/06/03
おはなし会 芽ぶっく
19
『チロヌップのきつね』 https://bookmeter.com/books/7607 に続く第3弾。ラッコを守る命を受け、松前藩から無人島にやってきた北見与平と妻のゆり。ゆりは身重の身体で、やがてさくらという女の子を産む。家族のそばにはいつもチロというきつねがいる。夏のある深い霧が立ち込める晩、さくらは高熱になりとうとう…。 忠犬のようなチロの姿に涙しました。2020/12/03
ヒラP@ehon.gohon
11
【再読】大人のための絵本2022/06/28
ヒラP@ehon.gohon
11
高橋宏幸さんのチロヌップシリーズは、キツネたちへの愛情に充ちています。 この作品は江戸時代にまでさかのぼる、千島列島の小島が舞台ですが、キツネをはさんで日本人夫婦とロシア人とのいさかいの物語になっていて、北方領土問題にまで関連するような内容です。 ロシア人たちにとっては、ラッコ狩猟は当然の事だったのでしょうが、そのために北見与平の生活を破壊したのは悲しいことでした。 北見夫婦との再会がかなわなかったチロも哀れです。 物悲しい話に心をしめつけられました。 2019/09/18
あるちゃ
3
チロの思いが心にしみます。 いなくなってもずっと一緒。 ただ単に、失ったことが理解できずに習慣を続けているだけだと考えることもできますが、そうではないのだと理解できるシーンが、赤毛の大男たちからさくらの墓を守ろうと咄嗟に命がけの行動をとるところだと思います。 そしてやがてようやく島に戻ってくることができた夫婦は、守ってくれた者の存在を感じ、これからは自分たちが守っていこうと決心したのでしょうね。 恐らく当初は、墓参りをしたら帰るつもりだったのではないかと思います…。2014/07/07