出版社内容情報
1945年8月6日。広島の町角に立つわらいじぞうが見たものは、まるで太陽が落ちてきたとしかいいようのない光景だったのです…。作家と語り部と画家が悲しみと怒りをこめて描く入魂の絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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26
なぜ、お地蔵さんの崩れた顔の代わりとなった石も、憤怒の表情を浮かべるのか。子どもの頃は、それが疑問だった。しかし今は、きっとその土地にあったもの全てに、戦争への怒りが刻まれていたのだと思う。2020/08/10
あおい
24
原爆で焼け野原になった広島。わらいじぞうと呼ばれていた穏やかなお地蔵さんが瀕死の少女の最後の願いを叶えるため仁王のような恐ろしい形相で涙を流す。怖くて悲しい絵。読むのが辛かった。2016/02/16
荒野の狼
18
2019年に大阪大学総合学術博物館で開催された「四国吾郎展~シベリアからヒロシマへ~」で購入。2019年8月にはNHKでBS1スペシャル「ヒロシマの画家~四国吾郎が伝える、戦争の記憶~」では、この絵本がアメリカで大学生の原爆の教育に使われていることが紹介されており、絵本の内容の紹介もなされた。 あとがきでは作者の山口勇子が、“本書は「おこりじぞう」の前半を俳優の沼田曜一が「手づくり民話劇場」で語ったものを絵本にしたもので、絵本が世に出ることで原爆の問いかけができる。原作も読んで欲しい”と書かれている。2019/08/12
ろくべえ
18
★★★☆☆ 小高〜『ひろしまのピカ』と同様、どんな状況で何歳くらいのどんな子供たちに読んであげるのか、手渡すのかを慎重にしたいなと思う。私自身は子どもの頃、もっと描写のソフトな絵本でもショックを受け、頭から離れなかったから。この本は絵がシンプルで大きく描かれているだけに、女の子の苦しみ、お地蔵さんの怒りの形相は、感じやすい子どもにはトラウマ的な恐怖になるかもしれないほどの迫力。戦争、原爆の悲惨さを伝えることは大事だが、子どもの発達段階に差がある小学校ではよく吟味して選びたいと思う。2017/04/12
さきん
18
原爆がらみの絵本では一番強烈な印象を受けた。幻覚と周りの地獄な状況が地蔵の穏やかな表情を明王のような険しい顔つきに勘違いさせる。2016/12/15