DDBJの利用法―配列データの登録・検索・解析

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  • サイズ B5判/ページ数 181p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784320056299
  • NDC分類 467.3
  • Cコード C3045

出版社内容情報

●内容
 DDBJとは,大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センターが,国際共同で構築・運営する日本DNAデータバンク(DNA Data Bank of Japan)のことである.国際共同というのは,DDBJが,世界に3つしかない公的データバンクといわれる国際DNAデータバンクのひとつであることによる.他の2つは,米国ワシントンD.C.の郊外にあるNIH(National Institutes of Health;国立保健研究所)のNLM(National Library of Medicine;国立医学図書館)の下にあるNCBI(National Center for Biotechnology Information)のGenBankデータベースと,英国ケンブリッジ近郊にあり欧州17カ国が共同で設立したEMBL(European Molecular Biology Laboratories;欧州分子生物学研究所)の下にあるEBI(European Bioinformatics Institute;欧州生命情報学研究所)のEMBLデータベースである.

 実際,DDBJを含むこれらの世界の3局の国際DNAデータバンクは,実質的におよそ20年にも及ぶ長い国際共同研究事業の歴史をもつ.これらのデータバンクは,ヒトを含むすべての生物種に対して,全ゲノム情報はもちろんのこと,個別的な遺伝子から生物集団内のSNPなどの遺伝的多型に至るまで,あらゆるDNA配列情報を収集する.それとともに,収集された配列情報に生物学的に有用な情報を,3局が統一的な体制で付加するといういわゆるアノテーションを施して,DNAデータベースを構築し提供する.とくに,世界の研究者は,DNA配列情報を用いて研究発表をしようとする場合,DDBJを含む3局のどこか1つのデータバンクに必ず事前に登録し,アクセッション番号という登録番号をデータバンクから発行してもらわないと,ほとんどの学術雑誌ではその投稿論文が受理されないというシステムになっている.

 また,わが国の特許庁をはじめ,米国のUSPTO(United States Patent and Trademark Office;米国特許商標庁)や欧州のEPO(European Patent Office;欧州特許庁)の特許機関も,それぞれのDNAデータバンクと連携し,公開されるDNA配列情報はすべて各DNAデータバンクから提供されている.とりわけ,DDBJにおいては,特許庁と常時密接な連携を実現させており,特許審査においても特許庁との専用回線が国立遺伝学研究所との間に敷設され,厳重に管理されたスタンドアローンの国立遺伝学研究所のサーバーで,特許庁がDDBJデータベースを用いて審査できるシステムが稼動している. さらに,生命情報・DDBJ研究センターでは,DDBJデータベースの構築はもちろんのこと,ゲノムデータベース,タンパク質立体構造データベース,遺伝子発現データベースなどの構築や,比較ゲノム解析などの最先端なバイオインフォマティクス研究やゲノム進化学的研究を推進している.また,これらの研究に必要なアルゴリズムやソフトウェアの先端的な研究開発,そしてバイオグリッドコンピューティング技法に基づくコンピュータツールなどの先導的な研究開発も行なっている.このような研究開発を鋭意行なうことによって,生命科学の重要な知的基盤を構築するとともに,これらのソフトウェアや解析ツールを利用者に使いやすく提供することによって,バイオインフォマティクスや情報生物学という今や生命科学に必須な学問分野を全世界的に広めることを努力している. このような背景の下,このたびDDBJの利用に関する事柄が本書として刊行されることは,多くの読者や他の方々にとっても非常に有意義なものと考える.とりわけ,このようなDDBJの利用に関する本の出版は今回が初めてであり,現在のDDBJの利用状況やその存在の重要さを考えると,その意義は非常に大きいと確信している.たとえば,データベース中から照会配列に類似の配列を探し出す相同性検索という方法は,DDBJの利用においても頻繁に使われており,夏休み明け前や年度末ともなると長い待ち行列ができるほど利用者が殺到している.

 本書は,DDBJ/EMBL/GenBankの国際データベースを使いたいと思っている方や,現在使っていてもまだその機能を十分に習熟していない方,あるいは先述したソフトウェアや解析ツールを使ってみたい方などを対象に,DDBJの利用法をできるだけわかりやすく解説してある.このため,生命情報・DDBJ研究センターを中心としたDDBJ関係の教員のほとんど全員が直接に執筆に参加した.したがって,本書は,DDBJの利用を希望する読者にとどまらず,バイオインフォマティクスや情報生物学の基礎から応用までを効率よく学びたいとお考えの読者にも,この分野の格好の教科書や参考書になるものである.読書層としては,理学・医学・工学・薬学・農学や情報科学やコンピュータ科学に身を置く大学生,一般の方々,修士・博士課程の大学院生やポストドクの方々,若手の研究者から指導を行なう先生の方々など,幅広い分野の幅広い層の人々を想定している.

目次

1章 DDBJの利用法
2章 国際塩基配列データファイルの構造
3章 データ登録
4章 データ検索
5章 塩基配列・アミノ酸配列データ解析
6章 タンパク質・発現データ解析
7章 情報資源の活用

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