感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たーぼー
68
寺の和尚に抱き留められて、止しゃれ、放しゃれ帯切らしゃるる…。の手鞠唄に導かれ溜息一つ。純情な一人の少年と美しい二人の女性の三角関係の間で揺れ動く幻燈的な精神交渉が、鮮やかな色調に彩られ、最後は誰も、何も、得られぬ寂静をもって緞帳は降ろされる。鏡花は『高野聖』等の怪奇物も面白いが、修辞的技法と人の心理の『読み』を尽くして構築された本作には、読者に妄想を委ねる部分が多く散りばめられており、やや難解ではあるが、読み応えは十分。さすがフランス文学翻訳の第一人者、生島遼一をして鏡花最高傑作と言わしめた作品である。2017/05/01
yn1951jp
40
疾きこといなづまのごとき時あり、軽きこと鵞毛のごとき時あり、見物は喝采しき。重きこと山のごとき時あり、見物は襟を正しき。うつくしきこと神のごとき時あり、見物は恍惚たりき。…空蒼く日の影はなやかに、緑の色濃き楓の葉に、金紙、銀紙の蝶の形ひらひらと風にゆれて、差しのばしたまふ白く細き手の、その姉上…『照葉狂言』の女芸人、二階家の姉さんの美しさはこの世のものではない美しさ。夜行巡査、外科医と美しき手弱女との恋は、この世で成就しえない美しき非恋。鏡花22-23歳にして、俗世間の価値観を超越した絶対美の世界を描く。2015/06/17
otamesi2
0
人気の夜行巡査のみを。後半の文体は難解、核心の「はたして仁なりや」はわかったから、まぁ良し。2016/08/15
canabi
0
29−20092009/05/01
tuna
0
外科室とか、どれも独特の世界観と雰囲気がある作品。2009/03/07