出版社内容情報
科学者、軍人、ペテン師――人間はこれまで気象を操作すべく格闘してきた。行きすぎ、うぬぼれ、自己欺瞞に満ちた悲喜劇をたどる。
地球温暖化や大気汚染、異常気象に頭を抱える以前から、人間は長く、ままならぬ「空」を思うように動かしたいと切望してきた。古代の雨乞いの儀式にはじまり、軍事・商用目的の人口降雨、気象衛星まで――気象を操作したいと願った人間の歴史をたどるとともに、SFばりのアイデアが検討される、現代の「地球工学」の問題点とその限界を衝く。
◆各紙誌で紹介されました。
『日経新聞』(2012/7/29)、『東京新聞』(2012/8/5)、『信濃毎日新聞』(2012/7/22)、『宮崎日日新聞』(2012/8/26)、『聖教新聞』(2012/7/25)、『赤旗』(2012/9/2)、『文藝春秋』(2012年9月号)、『AERA』(2012/8/6号)、『サンデー毎日』(2012/9/9)、『日経サイエンス』(2012年10月号)、『書標』(2012年8月号)
【著者紹介】
▼ジェイムズ・ロジャー・フレミング:コルビー・カレッジ教授。専門は科学技術史。アメリカ科学振興協会フェロー。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naimon
14
多くの示唆を得る事が出来た。が、気象の仕組みを知らないので辛かった。文章構成も読みづらい。商業的雨降らしが日本だと身近じゃないのも読みづらい。かなりの難読だったが、でもそれを上回るぐらい示唆に富む本。一般的な科学だと「やってしまえ」で進んだ部分も多かったはず。しかし気象は違う。やった事の結果がまず分からない。影響は世界規模。さらに軍事的な側面や利害訴訟防止のため、全部が公開されていない。その他たくさんの示唆を得た。序文の「中道こそ最も安全にして最適の道なのだ」が読後、奥深く感じた。2012/09/28
月をみるもの
7
原題には気象 (weather)と気候(climate) がちゃんと両方入ってるのに、邦題では気候を落としてるのがなんでかよくわからん。。。著者は気象/気候を人為的に制御しようとするジオエンジニアリングなど、とんでもないと主張している。しかし、GCM が温暖化を完全に説明できるんだったら、制御はできない、、、というのは明らかに矛盾している。まあ単純に、どんな観測も説明できるようにパラメーターチューニングしてるだけでしょ、、ってことなんだろうけど。2017/09/30
mitya
4
気象を操作しようとした人たちには、詐欺師のような人たちもたくさんいたようだ。戦争が絡んでくるとそら恐ろしいことになる。人間がある地域の気象を操作して、その結果周り全体がどうなっていくのか、分からないことがまだまだあるということだった。2021/08/20
YS-56
2
雨乞いに始まり、空への砲撃、雲の種まき、ハリケーンの制御。更には温暖化対策。人はその歴史の中で常に気象を何とかして操りたいと考え続けてきました。歴史が語るそれらの突拍子もない考えは大抵、たまたま季節がそうだった、とか、根拠が薄弱だったり、費用やリスクを無視していたりと、怪しげなものがほとんどのようです。地球環境の改善に特効薬などない事を理解して、私たちは、何を知り、何をなすべきで、何を望むかを考えて行動しなければならないようです。2012/07/07
kinaba
1
期待したものではなかった…あまりにも、著者の視点が気象改造をするべきでない、という方向を向きすぎていて、それに沿わない差異が切り捨てられてどの事例も同じに見えてしまうのがやや退屈2015/03/24