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女ぎらい―ニッポンのミソジニー

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784314010696
  • NDC分類 367.21
  • Cコード C0036

出版社内容情報

わたしの中の〈女〉が嫌い? 女好きの男は、実は女ぎらい? 「皇室」から「婚活」「負け犬」「DV」「モテ」「少年愛」「自傷」「援交」「東電OL」「秋葉原事件」まで…。男の「女ぎらい」と女の「生きづらさ」を解剖する!

◆『朝日新聞』読書欄(2010/11/14付)、『日本経済新聞』書評(11/7付)、『共同通信』配信書評(11/7付)、『週刊文春』書評(11/25号)、『サンデー毎日』特集記事(11/28号)、『婦人公論』(12/22-1/7号) 「ルポルタージュ 時代を創る女たち:上野千鶴子」、日経ビジネスオンライン書評(12/13)、サイゾーウーマン(『女ぎらい』著者インタビュー)、『読売新聞』(2011/3/4夕刊)「松任谷由実プレミア対談 yumiyoriな話」(掲載日が異なる地域もあります)等で紹介!

◆ブックデザイン:鈴木成一デザイン室

「あとがき」より
社会学者という職業を、ときどき因業だと思うことがある。自分にとって気持ちのよいもの、美しいもの、心温まるものではなく、むしろ不快なもの、むかつくもの、許しがたいものを対象に選び、なぜそうなるのか、その謎を理解しようとしてしまう執念に取り憑かれるからだ。
 書き手にとってと同様、本書は多くの読者にとって、女にとっても男にとっても――とりわけ男にとって――不愉快な読書経験をもたらすだろう。なぜならそれは多くの男女が目をそむけていたいことがらのひとつだからだ。

1.「女好きの男」のミソジニー
ミソジニーとは何か/吉行淳之介と永井荷風/女から逃走する男たち

2.ホモソーシャル・ホモフォビア・ミソジニー
男の値打ちは何で決まるか/男の連帯の成立条件/男は性について語ってきたか

3. 性の二重基準と女の分断支配――「聖女」と「娼婦」という他者化
ジェンダー・人種・階級/「聖女」と「娼婦」の分断支配/性の二重基準のディレンマ

4.「非モテ」のミソジニー 
「性的弱者」論の罠/性の自由市場/秋葉原事件と「非モテ」/格差婚の末路/「男性保護法」の反動性/「男になる」ための条件

5.児童性虐待者のミソジニー
「欲望問題」/公的セックス・私的セックス/児童性虐待者たち/ミソジニーとホモフォビア

6.皇室のミソジニー
男児誕生/皇室はいつからミソジニーになったか/記紀の神話論理学/皇族と人権

7.春画のミソジニー
暴力・権力・金力/快楽による支配/ファロセントリズム/春画研究ことはじめ/男根フェティシズム/男無用の快楽?

8.近代のミソジニー
「母」の文化理想/「ふがいない息子」と「不機嫌な娘」/「自責する娘」の登場/近代が生んだ女のミソジニー/自己嫌悪としてのミソジニー

9.母と娘のミソジニー
反面教師としての母/母の代償/母は娘の幸せを喜ぶか/母の嫉妬/母と娘の和解

10.「父の娘」のミソジニー
家父長制の代理人としての母/「父の娘」/「誘惑者」としての娘/日本の「父の娘」/「父」への復讐/「父の娘」でも「母の娘」でもなく

11.女子校文化とミソジニー 
男の死角/女子校の値打ち再発見/女子校文化のダブルスタンダード/「姥皮」という生存戦略/ネタとベタ

12.東電OLのミソジニー
メディアの「発情」/東電OLの心の闇/男たちの解釈/二つの価値に引き裂かれる女たち/娼婦になりたい女/女が男につけた値段/「性的承認」という「動機の語彙」/売買春というビジネス/女の存在価値/女の分裂・男の背理

13.女のミソジニー/ミソジニーの女
ふたつの「例外」戦略/林真理子の立ち位置/女と女のライバル関係/コスプレする「女」/女と女の友情

14.権力のエロス化
夫婦関係のエロス化/プライヴァシーの成立/性的満足の義務?/サディコ・マゾヒズムの誕生/セクシュアリティの脱自然化/身体化された生活習慣

15. ミソジニーは超えられるか
ミソジニーの理論装置/欲望の三角形/ホモソーシャル・ホモフォビア・ミソジニー/セクシュアリティの近代/ミソジニーを超えて/男の自己嫌悪

【著者紹介】
1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。現在、東京大学大学院教授。女性学、ジェンダー研究のパイオニア。1980年代以降、常に時代の先端を疾走し、現代社会のさまざまな問題を問い続けてきたフェミニスト。近年は、老い、福祉、ケアに専門領域を広げている。1994年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受賞。『家父長制と資本制』(岩波書店)、『女遊び』(学陽書房)、『スカ-トの下の劇場』(河出書房新社)、『おひとりさまの老後』(法研)、『ひとりの午後に』(NHK出版)、『戦後日本スタディーズ』全3巻(共編著、紀伊國屋書店)など著書多数。

内容説明

ミソジニー。男にとっては「女性嫌悪」、女にとっては「自己嫌悪」。「皇室」から「婚活」「負け犬」「DV」「モテ」「少年愛」「自傷」「援交」「東電OL」「秋葉原事件」まで…。上野千鶴子が男社会の宿痾を衝く。

目次

「女好きの男」のミソジニー
ホモソーシャル・ホモフォビア・ミソジニー
性の二重基準と女の分断支配―「聖女」と「娼婦」という他者化
「非モテ」のミソジニー
児童性虐待者のミソジニー
皇室のミソジニー
春画のミソジニー
近代のミソジニー
母と娘のミソジニー
「父と娘」のミソジニー
女子校文化のミソジニー
東電OLのミソジニー
女のミソジニー/ミソジニーの女
権力のエロス化
ミソジニーは超えられるか

著者等紹介

上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。現在、東京大学大学院教授。女性学、ジェンダー研究のパイオニア。1980年代以降、常に時代の先端を疾走し、現代社会のさまざまな問題を問い続けてきたフェミニスト。近年は、老い、福祉、ケアに専門領域を広げている。1994年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めりの

51
子供の頃から男の子じゃなくて申し訳ないと両親に、特に父に対して感じていました。父が亡くなってすごく開放感がありました。あんなに可愛がってもらったのに。親戚が男の子やったら良かったのにと、悪気なく話しているのを何度も聞いていたので、そうか女の子はダメなのかと思っていました。父から言われた覚えは1度もなかったのに。なんだか変な誤解してたな。私ミソジニーかー。自覚なかったな。恥ずかしい。2019/12/21

Mishima

36
上野千鶴子著作何冊目だろう。相変わらず切れ味鋭い筆包丁でネタをさばく、さばく。蓄積された膨大なデータから引き出した推論に持論を重ねる。時折、切っ先でデータ先の著者をかすったりもする。皇室、江戸時代(遊女と地女)、男視点女視点、サドマゾ、援助交際、東電OL事件、父と娘、母と娘、快楽による支配....多種多様なネタは卓越したスキルを持った料理人によってふさわしい器に盛られた。苦味と辛味のハーモニーよ。2017/03/26

katoyann

32
ミソジニー(女性蔑視/女性嫌悪)について文学作品や社会的に話題となった事件を事例として分析した、フェミニズム研究の本。セジウィックのホモソーシャルという概念を援用しながら、女性を性的に支配ないし所有することが男らしさを規定し、女性は男性から性的に承認されることで女らしさのステータスを確認すると分析する。それが女性を性の客体としか見做せない男性の女性蔑視であり、女性にとっては自己嫌悪の源泉になるという。現代思想のキーワードが頻出するので易しいとは言えないが、差別の構造を理解する上では貴重な本である。2023/08/22

ラテちゃん

30
男女平等について学ぶ機会があったのだがなんだか腑に落ちないところがあって本書を手に取る。上野さんの本は初読みだったので、まずは切り口の鋭さに関心。そして自分の長年におよぶ(幼少期からの)疑問やフラストレーションが溶解していくのを感じた。社会的性差であるgenderを論じる際に生物学的性差sexualityを抜きにして論じれば、つまり公の場で語るのがタブーとされがちなsexの問題をオブラートに包んで論じれば男女差別の本質は浮かび上がってこない。男性の女好きの本質は女嫌い(ミソジニー)、そして女自身の誰もが自2015/11/27

Narr

29
再読本。バイブルの一つ。フェミニズム専門書。フェミニズムを志向する際、必ず向き合わなければならないのがミソジニー(女性嫌悪、女性蔑視)だ。筆者上野千鶴子はこのミソジニー、とりわけ日本に蔓延るミソジニーを鋭くユーモアに溢れた知性と筆致で書き下す。だからこそ多大に読む価値がある。何しろ、今まで自明としていた世界観がどれほど他者を傷付け、それを正当化してきたか気付かされるからだ。一度目に読了した時の衝撃を未だに思い返す。しかし、良き方向に実践できているかは怪しい。何度でも立ち返るべき良書。2020/06/03

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