出版社内容情報
不在を存在させなければならない言語の宿命,それに賭ける文学者の虚構への熱情,これらが無を有に,否定を肯定に変え,沈黙から言葉を,死から生を生む。また,そのためにこそ,肯定を否定に,言葉を沈黙に,生を死に変えなければならない。揺れうごく作家の魂を文学の〈焔〉のなかにこそ見出そうとする,フランス批評の孤峰ブランショの珠玉の評論集。
内容説明
不在を存在させなければならない言語の宿命、それに賭ける文学者の虚構への熱情、これらが無を有に、否定を肯定に変え、沈黙から言葉を、死から生を生む。またそのためにこそ、肯定を否定に、言葉を沈黙に、生を死に変えなければならない。ブランショによれば、こうした意識こそ作家の意識であって、その中で非現実的なものが現実になり文学作品が生まれるのである。同時にまた、こうした作家の意識を人間の存在意識にまで押し進め、そこで人間の不条理を追求している。作家の魂を文学の“焔”の中に見出そうとする、フランス批評の孤峰ブランショの珠玉の評論集。
目次
カフカ読本
カフカと文学
マラルメの神話
文学における神秘
エイトレの矛盾
虚構の言語
シュールレアリスムへの反省
ルネ・シャール
ヘルダーリンの「聖なる」言葉
ボードレールの敗北
ランボーの眠り
ロートレアモンからミレーへ
翻訳とは…
サルトルの小説
マルローに関するノート
ジイド、及び経験の文学について
アドルフ、又は真実なる感情の不幸
死後の目
パスカルの手
ヴァレリーとファウスト
ニーチェの方へ
文学と死ぬ権利
著者等紹介
ブランショ,モーリス[ブランショ,モーリス][Blanchot,Maurice]
1907年フランス北西部の河港都市カンに生まれる。1940年まで新聞・雑誌の記者を勤めたのち、41年小説『謎の男トマ』(『ブランショ小説選』(書肆心水)所収)で文筆活動に入る。1943年評論集『踏みはずし』(筑摩書房)発表後は両ジャンルで活躍。2003年没
重信常喜[シゲノブツネキ]
1911年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。千葉大学名誉教授。2006年没
橋口守人[ハシグチモリト]
1931年千葉県生まれ。東京都立大学文学部仏文科修士課程卒業。千葉大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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