出版社内容情報
シンデレラ物語は西欧世界で最もよく知られた物語のうちの一つであるが,民話としての「シンデレラ」は,ヨーロッパだけではなくアジア各地やイスラム世界まで,全地球的な広がりをもって各地に伝えられ,今なお愛され続けている。こうした世界各地の物語を様々な角度から分析した論文を集めた,いわば「シンデレラ学小全」とも言うべき,きわめて興味深い本。
内容説明
意地悪な継母や姉妹による虐待、親切な妖精とその助けによる華麗な変身、王宮での王子とのダンス、12時の鐘と残された輝くガラスの靴、そして王子との結婚―誰しもが知っている「シンデレラ」の話である。しかし、実際には、「シンデレラ」の話は世界中をさまざまな所で少しずつその土地柄に合う文化的変容を経ながら、民話として見出される。「シンデレラ」の話は、現在の資本主義、社会主義社会の中でもさまざまに変容して生き続けている。本書は、これら諸相についての論考集である。
目次
猫のシンデレラ
シンデレラ、あるいは、小さなガラスの靴
灰かぶり少女
シンデレラ
中国のシンデレラ
ペローからウォルト・ディズニーまで:シンデレラの靴
シンデレラ・サイクルの研究
ユーラシア大陸における伝承地域
ジャワのシンデレラ物語とその教育的価値
イスラム女性の儀礼というコンテクストの中でのシンデレラ異話
我が父を愛するあまり―『リア王』民話ソースの精神分析的研究
形態学を超えて―レヴィ=ストロースと民話の分析
ハンチ―カンナダ語族のシンデレラ
トスカーナのシンデレラ
アメリカのシンデレラ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
見代
1
面白かった!! 類話もアプローチの仕方も様々、だけどすべてシンデレラの物語とそれに関する論文。これ1冊でなんか世界の広さと狭さの両方を味わえたし、めちゃくちゃ勉強になりました。楽しかった…!2016/01/21
あめり
1
うーん( ̄〜 ̄;)、偏りがある気がするっうか、また読みなおさなあかんかな…。2013/02/01
ぞだぐぁ
0
シンデレラに関する論文集。副題にあるような物語の伝搬の話を期待して読んだが、それ以外にも土地毎の事情によって変化する様子とか研究史で良く出るらしい「Verre(ガラス)」は「Vair(毛皮)」の間違いだったのでは説についてそのまま使っている研究者も、オシャレ靴に使われる薄手のは別の単語があるから厚手の毛皮を意味するVairの間違いではないとか結構違う意見も出てきたので新鮮。 「から」とあるが、9世紀の中国の時点でそれより昔から伝え聞いている話らしくてどうもインドあたりが由来みたい。 ソ連が共産主義に(続き2024/03/28