出版社内容情報
科学の歴史は発見の歴史だが、そもそも発見とは何か。科学史上の著名な事例を題材に、ある出来事が「発見」という身分をおびる社会的プロセスを探究。
序 マイケル・マルケイ
内容説明
科学の歴史を発見物語の連鎖と考え、われわれはそこに科学の魅力的なドラマを見出してきた。しかしいったい発見とは何か。例えば学習、模倣等といかに区別されるのか。従来の天才説、クーン、ハンソン等のゲシュタルト転換説は発見の存在を自明のこととしているのでこれに答えられないとして、著者は社会的文脈に焦点を当て、ある出来事がそもそもどのようにして発見に仕立て上げられるかを追求しようとする。メンデルは再発見されたのか、アメリカを発見したのは誰か、人類史の謎を埋めるピルトダウン人の真偽は…。科学史上の著名な事例を題材に、さながら推理小説を読むように、「発見としての身分」がいかに変化したかを説き明かしていく。そして結局、発見とは、われわれが世界を理解する際に用いる方法であり、解釈行為なのだと主張する。現象学的社会学、エスノメソドロジーの手法により、発見をラディカルに問い直した著。
目次
第1章 発見問題と自然概念
第2章 発見の心理学的説明
第3章 心理学的説明の総括的評価
第4章 発見の社会的モデルの登場
第5章 有意味な行為としての発見
第6章 エンドウにあてはまる法則およびメンデルの物象化
第7章 視界、再帰性そして発見のみかけの客観性
第8章 科学的発見の理論にみられる素朴レヴェルの思考
第9章 発見の社会学的特徴
著者等紹介
ブラニガン,A.[ブラニガン,A.][Brannigan,Augustine]
1949年生まれ。78年、トロント大学でph.D.取得。現在、カルガリー大学社会科学部社会学科教授。社会現象としての科学を関心の中心において、現象学的な見地から鋭い分析を展開、現在は犯罪や暴力の社会学にも関心を寄せる
村上陽一郎[ムラカミヨウイチロウ]
1936年生まれ。1962年東京大学教養学部卒。現在、国際基督教大学客員教授、東京大学名誉教授
大谷隆昶[オオタニタカノブ]
1942年生まれ。1978年国際基督教大学大学院教育学研究科博士課程修了。元広島工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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