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生誕の災厄

エミ−ル・M.シオラン 出口裕弘
紀伊国屋書店 (1988/10 出版)

286p / 20cm / B6判
ISBN: 9784314001472
NDC分類: 957

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詳細

これは痛覚で書かれた本,痛覚で読むべき本である。アフォリズムとは暖のとれない火だと自らを皮肉るシオランの「毒」と「徳」には一層磨きがかかり,内的哄笑を誘う独特のユーモアと強烈なシニシズムは類を見ない。暗黒の詩情に満ち男っぽく屈折した文体で人間観察の鋭さを示したシオランの真髄を,流麗な日本語になった本書において,存分に味わって頂きたい。

★宮崎哲弥さん(評論家)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 子供の頃、病的に死を怖れていた。死の間際の痛みや苦しみが恐かったのではない。「死」という観念自体に戦き、夜毎、恐慌に陥っていた。
 親たちは、私の恐怖の意味を理解できず、「心の病」のレッテルを貼った。親といえどもまったき他心に過ぎないと確信したのはこのときだ。それ以来、同質の死の恐怖を味わったことがないという者に、自分と同じ内面が宿っているとは思えなくなった。人間にも「種類」というものがあるのだ。普遍的人間性など大嘘だ。
 十四歳のとき、はじめてシオランのアフォリズムに触れた。『生まれたことの災いについて』なる原題のアフォリズム集で、シオランは口を極めて「生」を呪詛していた。
 「生れ出ることによって、私たちは死ぬことで失うのと同じだけのものを失った。すなわち、一切を」
 そこには孤絶した魂の実在を感知できた。左翼思想と訣別した十代の私は、シオランに導かれ、仏教へのとば口に差し掛かろうとしていた。」
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