クーデタ

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  • サイズ B6判/ページ数 369,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309709574
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

アフリカの沙漠の国の大統領が、4人の妻と愛人、有能な大臣、アメリカ、ソ連などとの駆け引きの結果、政権から逐われていく。アメリカ化する世界をアフリカの架空の国に投影した傑作長篇。

内容説明

北半分はサハラ沙漠、南の国境沿いに大河が流れるアフリカの内陸国クシュ。5年にわたる旱魃により飢餓に苦しむこの国を、クーデタで政権を奪ったエレルー大統領が支配する。アメリカ帰りの独裁者はイスラムの教義を信奉し、アメリカの援助を拒絶して独立国家として生きていこうとするが、4人の夫人と新しい愛人、先王エドゥムー4世、事実と数字の人間である内務大臣のエザナ、友邦ソ連の酔いどれ軍人などとの駆け引きの中で次第に自由を奪われていく。緑一色の国旗を翻して荒涼たる大地を経めぐる大統領のメルセデス。国境を越えて入りこむ7‐UpやCoca‐Colaなどのアメリカ文化。イッピ地溝帯にある「興味深い物質」とはいったい何なのか。コーランの朗誦が響きわたる冷戦時代のアフリカを舞台に、戦後アメリカ最大の作家が巧みに構築した物語。

著者等紹介

アップダイク,ジョン[アップダイク,ジョン][Updike,John]
1932年ペンシルヴェニア州に生まれる。ハーヴァード大学卒業後、雑誌『ニューヨーカー』のスタッフとして働きながら詩や小説を発表する。2冊目の長篇『走れウサギ』で作家としての評価を確立し、64年『ケンタウロス』で全米図書賞受賞。華麗な文章で現代社会の風俗を巧みに描き、戦後アメリカを代表する作家と目された。2009年没

池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道帯広生まれ。埼玉大学理学部中退。88年「スティル・ライフ」で第98回芥川賞受賞。おもな小説に、『マシアス・ギリの失脚』(新潮社、谷崎潤一郎賞)、『花を運ぶ妹』(文藝春秋、毎日出版文化賞)などが、おもな評論・書評集に、『母なる自然のおっぱい』(新潮社、読売文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

160
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第十七弾Ⅱ-05、アメリカを代表する作家ジョン・アップダイクが描く, アフリカの架空の国のクーデタ劇、興味深く読みました。 続いてⅡ-06へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/2021/08/23

ケイ

130
アップダイクが、あの「ウサギ」のアップダイクが、アフリカの独裁者を半ば彼の独白で描く。彼はジャーナリストであったのだと、得心した。フランスに翻弄された母国、種族同士の争いとレイプで生まれたという出自。アメリカへの留学。アフリカ生まれの黒人が、白人家庭の同級生と付き合い、彼女の家で黒人のメイドを見る時の印象など、とてもシュールだ。砂漠でのことも何もかもシュール。アフリカでアメリカがどう見られているかも、ちゃんと描く。しかしね、一つだけ詰めが甘いと思うの…、女性に優しすぎるヤンキーが抜けきってない気がした。2018/04/24

藤月はな(灯れ松明の火)

88
強姦されて生まれたが、フランスのために戦い、西欧の資本主義教育を受け、王から位を簒奪し、大統領になったイスラム教徒のエレヌー。ファノンが『地に呪われたる者』で「革命も結局は西欧の帝国主義の概念でしかない。それで得られた独立は真の独立でも勝利でもない」と批判していたことをこの本を読んで思い出した。また、自国を西洋の資本主義に染められまいとする彼がクトゥンダに批判される所は『マクベス』を連想してしまう。そして西洋の教育を受けた彼がイスラム教の一面で妻を押さえ込もうとしたのに対し、彼の妻が揃って西洋的なのも皮肉2017/07/09

秋良

11
アフリカの架空の国で、イスラム社会主義に基づいた独裁政を敷く大統領。アメリカの援助を突っぱねるも、クーデターにより大統領の座を追われてしまう。アフリカからの留学生という、外の視点を持って内側から眺めたアメリカは、何だろうなあ、生きづらそう。資本主義社会は幸福とは言い難いが、社会主義がうまくいかないのは、人間はやっぱり貧しいのが嫌だからでしょう。2019/07/06

かもめ通信

11
「読みやすいか?」と問われれば、迷わず「読みにくい」とこたえる。 「好きか嫌いか」と問われれば、おそらく「嫌い」と応じ、「面白いか?」と問われれば、少し迷って「面白い」とこたえる。 「お薦めかどうか?」と問われれば、問う相手を見て答えを変えるに違いない。 つまるところ、かなり癖のある作品だということだ。 そうではあるが「クーデタ」とか「内乱」とか「○×の春」とかいう言葉が、再び盛んに話題にのぼるようになった今だからこそ、大国に踊らされる国や人びとを描いたこの作品も、ますます読まれるべきなのかもしれない。 2014/03/02

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