出版社内容情報
ナポリ湾の小島を舞台に、多感な少年とその年若い義母との葛藤を瑞々しく描いたストレーガ賞受賞作。および家族とは何かをテーマに失われた人と人との絆の行方を描いた名作。
内容説明
『アルトゥーロの島』―ナポリ湾の小島で、自然を友とし野生児のように暮らす少年アルトゥーロ。不在がちな父の帰りを待ちわびる彼だったが、ある日突然、父が新妻を連れて島に戻ってくる。最愛の父に寄り添う彼女に少年は激しい反感を覚え、幸福な日々は軋れ出す―ストレーガ賞に輝いた傑作を新訳で。『モンテ=フェルモの丘の家』―モンテ・フェルモの館「マルゲリーテ」。そこはかつて若者たちが集う、不滅の友情の砦だった。しかし時は流れ、それぞれが求めた自由への道は、多くの関係を壊し、多くの絆を断ち切っていく。喪失の悲しみの中から、人はふたたび関係を紡いていくことができるのだろうか。ファシズム期イタリアの闇の時代をくぐり抜けた二人の女性作家の代表作を新訳と名訳でおくる。
著者等紹介
モランテ,エルサ[モランテ,エルサ][Morante,Elsa]
1912‐1985。1912年ローマ生まれ。幼時から詩や童話を書き、20歳頃から精力的に作品を発表する。41年、短編集『秘密の遊び』でデビュー。イタリアが内戦状態に陥った43年、夫アルベルト・モラヴィアと共に地方の農村に避難。解放後のローマで執筆を再開し、48年、長編『嘘と魔法』でヴィアレッジョ賞、57年『アルトゥーロの島』でストレーガ賞を受賞し作家としての地位を確立する。戦後イタリア最大の女性作家とみなされている
ギンズブルグ,ナタリア[ギンズブルグ,ナタリア][Ginzburg,Natalia]
1916‐1991。1916年パレルモ生まれ。18歳で初めて短編を文学誌に発表。反ファシズム活動家のレオネ・ギンズブルグと結婚し、40年から3年間を夫の流刑地の南伊の寒村で過ごす。42年、最初の小説『町に行く道』を刊行。解放前のローマで夫が獄中死を遂げた後、幼時を過ごしたトリノに戻り、出版社のエイナウディ社で働く。52年、『私たちの歩いてきた道』でヴェイロン賞、57年、『ヴァレンティーノ』でヴィアレッジョ賞、63年、『ある家族の会話』でストレーガ賞を受賞する。多くの戯曲、エッセイも著した
中山エツコ[ナカヤマエツコ]
1957年東京生まれ。東京外国語大学卒業。東京大学大学院修士課程修了。ヴェネツィア大学文学部卒業。現在ヴェネツィア大学講師
須賀敦子[スガアツコ]
1929年兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。上智大学比較文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
藤月はな(灯れ松明の火)
ぞしま
秋良
ゆき