内容説明
アメリカの同時多発テロ事件はなぜ起こったのか?ひとりの青年がなぜ歴史を背負わなければならなかったのか?諸外国の干渉、民族間の対立抗争を超えて、祖国統一のため闘う英雄マスード。その卓越した指導力と測り知れない人間的魅力を、ゲリラの根拠地に分け入って、マスードとその戦士たちと共に生活をしながらアフガニスタンの真実をレポートする。
目次
第1章 アフガニスタンへ
第2章 パンシール
第3章 マスードの戦い
第4章 ヒンズークシを越えて
第5章 統一戦線へ
第6章 戦士群像
著者等紹介
長倉洋海[ナガクラヒロミ]
1952年北海道釧路市生。同志社大学卒業。フォト・ジャーナリスト。世界の紛争地に生きる人びとの姿を追ってきた
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
289
写真家の長倉洋海氏が1983年、100日間にわたってアフガニスタンでマスードと彼らムジャヒディーンの戦士たちに密着取材した記録。当時、アフガニスタンはソ連の侵攻を受けており、マスードはその抵抗ゲリラ勢力たる「北部同盟」の指導者だった。その生き方も、(風貌も少し)どこかゲバラを思わせるマスード。当時の(おそらくは今も)アフガン情勢は複雑を極めていた中で、決断力に富み、戦略に秀でていたマスードは「パンジシールの獅子」と呼ばれ、慕われていたようだ。その彼も2001年に、暗殺されてしまう。実に鮮烈な人生だった。2017/07/28
ののまる
15
マスードがもし生きていたら・・・9,11も起こらなかったかもしれないし、今のアフガン情勢も中東情勢の変わっていたかもしれない。2018/06/05
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
9
再読。原著は1984年で、2001年の文庫化に伴って一部加筆したもの。今年ともかくも終戦となった「アフガニスタン戦争」の前史とも言うべき内容で、当時アフガニスタンに侵略して来たソ連と戦う英雄・マスードについて100日間共に過ごしたフォト・ジャーナリストが書いた本。 彼らの視線から見ている、そういう本。彼らのゲリラ戦、そうした中での日常も書かれていて興味深い。何より人の命が軽い。それに見合う目標のためには軽くはないのかもしれないが、本音も少し窺える。→続く2021/09/27
R
6
名著。「私が死ぬ時、それは神の意思だろう。ただ、その時までを燃焼するように生きたい。」マスードの言葉。合掌。2012/07/12
竜王五代の人
5
1983年、30歳(!)の、ソ連と戦う若き英傑マスードとその周辺の人々(捕虜やソ連からの転向者含む)のルポルタージュ。精力的に事務処理したり陳情に応えたり指揮したり、しかも知識に貪欲で篤いイスラム教の信徒でもあり、魅力的な支配者の一つのモデルとなると思う。組織図やパンシール渓谷の地図もあるのも良。ここに、よく登場する周辺人物の一覧表もあればさらに良かった。なぜパンシールの獅子であって虎でないかも。 ところで、マスードは幸運という意味だというなら、日本語なら幸雄とかになるのか?2020/11/16