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内容説明
貝殻、珊瑚、鉱物、宝石、昆虫、爬虫類…のほか、蝋人形、髑髏、古代の彫像、奇形、自動人形、時計など―好奇心、蒐集癖、秘密、変形や異種混合の異世界。ヨーロッパの王侯貴族たちが密かに作った原初の博物館。
目次
第１章 世界劇場（珍品の展示；陳列棚）
第２章 陳列棚を開けて（鉱物の世界；貝殻―死せる命；珊瑚―生と死のはざま；鑞―生命の影；とらわれた生命；捏造された生命；長引く死；奇形；オートマタ（自動人形）
象牙の驚異）
第３章 蒐集家―「子どもじみた老人」（チロル大公フェルディナント；トラデスカントとアシュモール；クロード・デュ・モリネ；アルドロヴァンデとコスピ；マンフレド・セッターラ；キルヒャー；ルドルフ２世；緑の穹窿）
第４章 幻の陳列室―１８‐１９世紀（ボニエ・ド・ラ・モソン；グリーン氏の博物館；ストロベリー・ヒル；グッドリッチ・コート；ソーンとドゥノン；サーアシュトン・リーヴァー）
第５章 復活―珍奇の精神（アンリ・ダルマーニュ；ブルトンとシュルレアリストたち；コーネル；オワロン城；現代の驚異の部屋）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由多
17
240×310㎝のハーフベルリナー版で、大きいし重い。一章の世界劇場はワクワクしっぱなし。二章の陳列棚を開けては、油断してるとグロいのぶっ込んでくるから覚悟を決めてからページをめくらないと心臓に悪い。五章の復活で近代になってくると、整然と並べられ陳列品にも興味が湧かない。説明文も雑になってくる。しかし四章までは巧緻を極めた品に感嘆し、小さな顔を30面刻んだサクランボの種とそれを吊るす枠の意味不明さに首を傾げ、蒐集家の部屋に好奇心を刺激され続けた。好きな人には桃源郷。2019/06/28
梟をめぐる読書
12
異国原産の鳥獣の剥製、珊瑚の枝々を彫琢して得られたキリスト磔刑図、ホルマリン漬けの乳児の頭部、客人の体重で作動する悪魔のオートマタ(自動人形)、無数の貝殻の寄せ集めで作られたアルチンボルド風人体…。自然物から人工物まで、あらゆる「珍奇なもの」の集合によって世界の雛形をそこに再現せんとする「驚異の部屋」の欲望は、かねてから無数の権力者たちの幻想として、奇妙な伝統をヨーロッパで育み続けてきた。本書はそのほぼ全頁において「珍奇なもの」の図版が跋扈する、それ自体が一個の「驚異の部屋」のような構成に仕上がっている。2012/12/15
april-cat
9
『好奇心の部屋デロール』の大人版（？）のようなものかと思ったら、もうちょっと踏み込んで驚異の部屋が具現化する意味の変遷について考察してある。もちろん本文を読まず、ただの興味本位で写真をながめても十分楽しめる。相当ごった煮状態のわが家のリビングだけど、そうか足りないのは頭蓋骨と天井から下げるワニの剥製だったか、と気づいた（笑）2013/04/10
胡蝶
8
まさに、奇想。なんでこんなものを？？と思うようなコレクション達が部屋を棚を埋め尽くす。まるで、その部屋自体が生き物のよう！それこそ、尽きることのない興味と欲望が詰まった一冊ですね。2014/04/11
123456789wanko
8
マンガCMBでお馴染み｢驚異の部屋｣。あぁここに住みたい、いつまでも眺めていたい、と溜め息ばかりがでる一冊。ありとあらゆる品が溢れる空間は、それだけで想像力と物欲を極限までしげきします。天球儀だけでも欲しいなあ。2013/02/23
