生命と現実―木村敏との対話

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  • サイズ B6判/ページ数 215p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309243948
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0011

内容説明

臨床の現場に身をおきつづけながら、深い哲学的思索と鮮烈な理論によって精神医学を超えた各層に影響を与えつづけてきた著者が、西田、ベルクソンなどを論じる哲学者の問いをうけて、「あいだ」、時間論、分裂病、鬱病、そして「生命論的差異」などの核心的テーマをほりさげる語り下ろし。

目次

1 あいだ
2 分裂病
3 自己と時間
4 他者
5 治療
6 鬱病
7 生命論的差異
8 集団としての主体
9 アクチュアリテとヴィルチュアリテ

著者等紹介

木村敏[キムラビン]
1931年生まれ。55年京都大学医学部卒、61年より2年間ミュンヘン大学神経科・精神科に留学、69年より2年間ハイデルベルク大学精神科客員講師、74年より名古屋市立大学医学部教授、86年より京都大学医学部教授。その間81年ドイツ連邦共和国より第3回シーボルト賞、85年エグネール財団(スイス)より第1回エグネール賞を受賞。94年京都大学を停年退官後、2001年まで龍谷大学国際文化学部教授。2003年、第15回和辻哲郎文化賞受賞、2004年より2年間、立命館大学文学部哲学科客員教授。京都大学名誉教授、河合文化教育研究所主任研究員

桧垣立哉[ヒガキタツヤ]
1964年生まれ、1992年東京大学大学院博士課程中途退学。2000年より大阪大学人間科学研究科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

フリウリ

7
木村氏の、例えば医学では普遍よりも特殊が大切であって、症状には必ず理由があるのだから薬で治まればよいわけではない、という考え方は明快で、現状のEBM至上主義的医学の問題点を突いています。一方、檜垣氏による哲学的文脈からの質問と背景解説からは、なにが問題なのかがよくみえてくるように思いました。精神科医と哲学者では、当然「ものの見方」にずれがあるので、そこをたどるのも一つの読み方と思います。72024/03/25

ポカホンタス

3
木村氏の時間論とドゥルーズの時間論との関係を確認したくて読んでみた。檜垣氏の高い状況整理能力に助けられて、木村vsドゥルーズの構図が浮き彫りになっていると思った。両者の考えが意外に近いこともよくわかった。それ自体が檜垣構想なのだろうけど。2016/04/03

またの名

3
面白いし読みやすい。聞き手が檜垣氏なのが非常に良い。西田哲学や生の哲学の側面から木村氏の思想に応答し、ついでにドゥルーズとも対比させる手腕を発揮してなお余りあるのがすごい。もちろん木村敏精神病理学の解説にもなっているし、精神医学や哲学にかんする初級よりちょっとレベルの高い解説としても読める。木村氏のノエマ・ノエシスや間、アンテ・ポスト・イントラ~が簡易に解説され、精神病理学の範囲を超えた問題圏にまで話は及ぶ。木村氏がアガンベンに引用されているというのを知ってちょっと驚いた。2012/12/13

arisa

1
自分が次に何の本に進めばよいかがよくわかる。あと、木村先生の読書の仕方が丁度良くて、本当に必要な栄養を取捨選択している感じで、好きだ。こういうんでいい。 「アクチュアリテがヴィルチュアリテに下半身を浸している」というイメージ、すごいわかる。根底からわきあがってくる何かがある。それは真理であり、希望であり、生でも、死でもある。わたしはそれが好きで、憧れているんだ。もっと言えば、生と死の質が転変するダイナミズムが好きなんだ。ということを再確認した。2023/06/10

朝野まど

1
木村先生の本で少し、柔らかいものが読みたいなと思ったので、対話形式の本を選びました。自己や他者が個別化して立ち上がってくる以前の、種的な生命そのものについて語られている。これまで、命は死ぬと宇宙に帰り一つになる、だとか、全ての人間は根っこのところで繋がっている、だとか、そういったことに対してスピリチュアルな曖昧な理解しかしていなかったが、この本を読むことで、そういった統一性に対して学問的な理解に近づくことができた。 2013/01/17

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