内容説明
京子の前に現れた、死んだ息子にそっくりな学生。彼女は夫に秘密で、彼と逢うようになるが…この恋は死の味がする。急逝した『ボディ・レンタル』の作家による遺作。
著者等紹介
佐藤亜有子[サトウアユコ]
1969年岩手県生まれ。2013年に急逝。東京大学仏文科卒業。1996年『ボディ・レンタル』が第三三回文藝賞優秀作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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らむり
30
今年急逝された、東大卒作家さん。それを暗示するかのようなお話でした。亡き息子、亡き夫を愛でる、女性の心の動き。そういう経験はないけれど、心に響くものがありました。2013/08/12
リッツ
10
これは遺書?と思わずにはいられなかった作品集。先頃急逝されたことを踏まえて読んだせいかあまりにも色濃い死の影。喪失と現実と幻想から逃れる為の薬とアルコールによって益々追いつめられていく姿、苦しみを分かち合えるはずの手をも受け入れられず自分を許せず深い暗闇に見詰めるその視線から目を背けることも出来ず一気読み。今はただご冥福を祈ります。2013/08/25
みぃ
7
★★★★☆ 喪失が大きいとこんなにも壊れてしまうのか。強く生きるのも自死もかなわず、死んでいるように生きてる時に迎えにきてくれるのはいいなと思った。読むのにも精神的に疲れたが、執筆するのも疲れたと思う。2013/10/05
rouge
6
作者の訃報を知らなかったとしても、これを読んだら、あ〜この人、死んじゃうかも…って思わずにはいられない小説だ。もう苦しくてどうにもならないという主人公の心理にひきこまれそうで精神衛生的によくないかもしれないが、それでも深い暗い美しさに満ちている。収録されている短編もすばらしい。2013/09/05
世玖珠ありす
5
もともと明るい作風の方ではなかったけれど、遺作だけあって超ダーク。人間の精神がゆっくりと壊れて行く様が、ひしひしと伝わってくる。人間が、地球上で最も弱い生物だと、つくづく感じる作品でした。2013/12/07