内容説明
自身で編んだ「世界文学全集」を入口として新しい傑作を縦横無尽に語りつくす世界文学漫遊の旅。夕刊フジ連載の人気コラムを完全収録。
目次
世界文学全集ですよ
ケルアック『オン・ザ・ロード』
バルガス=リョサ『楽園への道』
クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
サガン『悲しみよこんにちは』/デュラス『太平洋の防波堤』『愛人ラマン』
ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
フォスター『ハワーズ・エンド』
ディネセン『アフリカの日々』/チュツオーラ『やし酒飲み』
フォークナー『アブサロム、アブサロム!』
残雪『暗夜』/バオ・ニン『戦争の悲しみ』〔ほか〕
著者等紹介
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道帯広生まれ。埼玉大学理学部中退。75年から3年間ギリシャに滞在する。88年「スティル・ライフ」で第98回芥川賞受賞。以後、世界各国に旅を重ねながら数々の作品を発表し、書評なども数多く手がける。おもな小説に、『マシアス・ギリの失脚』(新潮社、谷崎潤一郎賞)、『花を運ぶ妹』(文藝春秋、毎日出版文化賞)などがある。2010年度朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつこ
51
世界文学全集を1冊ずつ紹介しながら、それにまつわる作品を派生していく。そのため興味が出る本が多数。読みたい本の登録が必然的に増えました。派生本の紹介に夏目漱石『坊っちゃん』が何回も登場してたのは、池澤夏樹さんが好きだからなのかな。また新たなジャンルの開拓にもなって、特にルポタージュ文学は今後読み進めたい。あとがきにもある通り全体的に読みやすい文章になっていたので、世界文学に足踏みしている人にも1歩踏み出すいい機会にもなると思います。2016/02/04
美羽と花雲のハナシ
37
自分の好きな本を嬉々と友達に語るような文体で紹介する。従来の文学紹介とは形式が異なり、非常に新鮮な気持ちで読み進められた。池澤氏自身の感想や作品の見どころを交えて、さり気なく物語や作家様にまつわる後日談を述べるから、すごく面白くて興味深い。敢えてなのか、たまたまなのか、有名な世界文学をあまり紹介せず、手に取る機会や存在を知る機会が少ない、有名でない文学作品を多く扱った。だからこそ、全く出会った事のない作品を知る機会を与えられた。膨大な知識量と読書歴に驚いたが、作家兼評論家兼翻訳家の肩書きの方には更に驚く。2012/11/10
中玉ケビン砂糖
36
もとは夕刊フジでの連載ということもあって、「スケベ」「ロマン」「男はつらいよ」という猫を被った池澤夏樹が縦横無尽の世界文学四方山話を喋る。サクサク読めて、これを読んだおっさん達が、本編を読まなくても知った気になって話のネタにできるという「コスパのいい」(のか?)一冊(これを契機に全集に手をつけてみようと思う好事家はまあ、いまい。そもそも本書を手に取る人間は多かれ少なかれ全集を先に読んでいるだろうし)。2020/02/15
kana
33
寝る前に一章ずつ読み進める幸せな日々が終わってしまいました。池澤さんの優しい言葉遣いが心地よく、書評が1つの物語のようでした。これを読んだら、世界文学全集も読まずにはいられないですね。焦らずじっくり世界文学と向き合っていきたいです。2011/06/12
マリカ
32
ここ数年で出会ったブックガイドの中で一番好き☆ 世界のお話をたくさん知っているお話好きのおじちゃんに個人的にレクチャー(ほぼ毎回脱線)してもらっている感じ。池澤さんがあまりにもうれしそうに紹介してくれるので、こちらもつられてうれしくなってしまう感じ。この本を読む前は、池澤さんの全集を読もうかどうしようか迷っていたけど、全集に収録されている作品はもちろん、芋づる式に紹介してある他の作品まで読みたくなってしまって、ただでさえ長い「読みたい本」リストがさらに長くなってしまいました(>_<)うれしい悲鳴です。2012/03/19