小川洋子の偏愛短篇箱

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  • サイズ B6判/ページ数 357p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309019161
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0093

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専攻卒業。88年、「揚羽蝶が壊れる時」で第7回海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。91年、「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。2004年、『博士の愛した数式』で第55回読売文学賞、第1回本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で第32回泉鏡花文学賞、2006年、『ミーナの行進』で第42回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

80
小学生の頃に、みんなが切手やシールをコレクションしていた時に、小川洋子さんは密かに爪とかさぶたを蒐集していたそうだ。相当に奇妙なコレクションだと言わねばならないだろう。流石と言えば流石。あるいは、変態的と言えば変態的だ。そんな作家の偏愛アンソロジー。全部で16の短篇を収録する。小川洋子さん自身の書く小説はこよなく好きなのだが、こうして選ばれた作品はどうも今一つピンとこない。他では選ばれないものを、あえて選んでいるからだろうか。集中では、初めて読む内田百閒と金井美恵子が拾いものであったかと思う。2012/12/28

風眠

69
大好きな小川洋子さんがセレクトした短篇なら、きっと私も好きだろうと思って手に取った。既読のもの未読のもの、思った通り、私も好きだった。ひとつひとつの短篇の後の小川さんの感想がまた素敵で、私と違う感想だったり、同じような感想もあったり、そういうことも何だか嬉しい本だった。『偏愛短篇箱』というネーミングも、この本にぴったりだと思う。金井恵美子『兎』、森茉莉『二人の天使』、牧野信一『風媒結婚』が特に好き。グロテスクで歪だけれど、少し切なくて哀しくて、どこか凛とした美しい物語。尾崎翠はほかの作品も読んでみたい。2014/04/26

Mina

55
子供の頃、爪とかさぶたが宝物だった小川さんならではのセレクト。どの話もひんやり静かな佇まいですが、一度読んだら忘れられない濃厚な作品ばかり。兎に魅入られた少女の話「金井美恵子・兎」は、これぞ偏愛中の偏愛。「向田邦子・耳」、向田さんは相変わらず横暴で情けない夫の描き方がお上手。怖いけど見てみたい、痛いけどやってみたい感情に共感。「吉田知子・お供え」は読んでみたかったので大満足。「三浦哲郎・みのむし」は、題名から想像していた通り悲痛な物語でした。谷崎の過酸化マンガン水の夢、川端の花ある写真も初読で面白かった。2015/01/06

ちょろこ

53
小川さんの宝箱をそっと見せていただいたような一冊。見せていただきます、と手を合わせてから本を開き、最後はどうもありがとうございました、とお辞儀して本を閉じたような、そんな読後感。しかもその宝箱は一度にのぞき込むのはかなり危険。なぜなら小川さんの紡ぎだす世界のもととなるであろう、あまりにも偏りすぎた異世界に溺れてしまいそうだったから。異世界作品と小川さんの解説、エッセイのセットは毎日一編ずつがちょうど良かった。数ある宝物の中でもやっぱり乱歩の「押絵と旅する男」が断トツ好みだった。2016/03/02

キジネコ

41
偏った愛の標本箱?!怖いもの見たさで蓋を開けると、期待を裏切らない16の短編。当人は必死に違いない「件」の不思議な重量。凄惨の極みなのに美しい「兎」。研ぎ澄まされた刃物の様な言葉「ふたりの天使」。一点の曇りもなく築き上げた物語世界「みのむし」の悲しさ。妖にして艶、繋ぎ留める枷の両端に何を見るのか?を改めて問う「雪の降る前に」の淫靡。病み疲れた妻に男が言います「実に不思議な獣だね・・いつの場合に於いても、どこか仄かに残忍性を湛えている」この言葉を作家への献辞としよう。ピンで止められた私、視界を塞ぐ箱の蓋。2014/03/12

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