出版社内容情報
《内容》 昭和63年（1988年）に編纂された「臨床工学技士指定講習会テキスト」は，養成学校・大学等でも“知識整理のための手ごろな教科書”として長く活用されてきたが指定講習会も終わり廃刊となった。そこで，臨床工学技士教育に情熱を持つ有志が集まって，現在の養成学校・大学での臨床工学技士教育に資する，あらたな標準テキストをまとめることになり，作成されたのが本書である。本書は，臨床工学技士になろうとする学生に対して，学習のポイントを示すことを主眼としている。また読者対象に応じて以下のように活用していただくことを意図して編纂されている。
■臨床工学技士養成学校・大学の学生には，
・低学年：臨床工学全体を見渡す水先案内人として活用する。
・中学年：専門科目に入る前に学習のポイントを抑えて，
予習・復習に活用する。
・高学年：実習前の予習と実習中の確認のために活用する。
また，知識の全体的な整理のために活用する。
■卒業生（現場の臨床工学技士）には，
・学校で学んだことがらの再確認・再入門書として活用する。
■臨床工学技士養成学校・大学の教師には，
・様々な専門的なテキスト・参考書の副読本として，教えるべ きポイントを把握するために活用する。
■他の医療職種の方々には，
・臨床工学技士を理解するうえでの臨床工学（CE）の入門書と して活用する。
《目次》
■第1編 専門基礎科目
1）医学概論
医学・医療の歴史／医療技術の進歩／医の倫理／医療制度／医療事故
2）公衆衛生学
公衆衛生学の目的と公衆衛生活動の意義／健康と疾病／わが国の公衆衛生活動の現状
3）人の構造と機能
細胞と組織／骨格と骨格筋／血液と体液／呼吸系／心臓と脈管系／消化と吸収／尿の生成と排出／内分泌／神経系／感覚
4）病理学概論
病理学とは／細胞傷害の機序とその適応／循環障害／炎症／免疫異常／腫瘍／遺伝性疾患
5）臨床生化学
生体の化学／疾病の生化学
6）臨床免疫学
免疫の仕組み／免疫関連疾患／移植免疫／腫瘍免疫／臨床検査法
7）臨床薬理学
薬理作用／薬の種類と働き／新薬の開発／薬の適正使用
8）情報処理工学
情報処理工学の目的／信号処理／ディジタル表現と論理演算／通信工学／コンピュータハードウエア／コンピュータソフトウエア／コンピュータネットワーク
9）医用電気工学
はじめに／電磁気学／直流回路／交流回路／過渡現象
10）医用電子工学
回路素子／増幅回路／バイアス回路／演算増幅器／電源回路／その他の電子回路
11）医用機械工学
医用機械工学序論／機械力学／流体力学／生体内の流れ／波動と音波・超音波／熱現象と熱力学／機械要素
12）生体物性工学
生体物性の概要／生体の電気的特性／生体と電磁場／生体と放射線／生体の力学的特性／生体の流体力学的特性／生体の熱的特性／生体の光学的特性
13）生体材料工学
医用材料の必要な用件／材料の安全性試験／生体適合性／各種医用材料
■第2編 専門科目
1）生体機能代行装置学
A．体外循環装置
人工心肺装置の構成機器と機能・目的／人工心肺の病態生理／人工心肺操作の実際／人工心肺の事故と対策／人工心肺装置の保守・管理・定期点検／補助循環装置
B．呼吸療法装置
人工呼吸療法／高気圧治療
C．血液浄化装置
各種血液浄化療法／血液透析／血液透析以外の腎不全治療／腎不全治療以外の血液浄化療法（アフェレシス療法)
2）医用治療機器学
治療の基礎／電磁気治療機器／機械的治療器／熱治療器／光凝固装置／光線治療機器／低出力レーザ／内視鏡用手術装置／内視鏡／電気メス／超音波吸引装置／レーザー手術装置
3）生体計測装置学
生体計測の基礎／生体情報の計測
4）医用機器安全管理工学
臨床工学技士と安全管理／各種エネルギーの人体への危険性／安全基準／電気的安全性の測定／ME安全管理技術／医療ガスとは／医療ガスは医療現場でいかにして供給されるか／医療ガスはいかなる危険性をもつか／医療ガスはいかにして管理するか／システム安全
5）臨床医学総論
A．呼吸器学
感染性肺疾患／気道閉塞性／アレルギー性／化学物質，環境汚染による／間質性／肺血管性／胸膜／腫瘍性／呼吸不全／嚢胞性／その他
B．循環器学
心臓病学／血管病学／体外循環／ペースメーカー
C．腎臓・泌尿器学
腎臓・泌尿器疾患の症候と病態生理／内科的疾患／泌尿器科的疾患／腎不全
D．代謝疾患・内分泌疾患
先天性代謝異常症／後天性代謝異常症／ビタミン疾患／内分泌疾患
E．消化器学
食道疾患／胃疾患／腸疾患／肝疾患／胆道疾患／膵疾患
F．血液学－血液疾患とその治療－
血液について／赤血球の疾患／白血球の疾患／血小板の疾患／血漿中の凝固因子の疾患／輸血
G．神経病学
神経系の障害でみられる主な症状／神経学的診断と補助診断／主な神経疾患
H．麻酔・集中治療医学
麻酔科学／集中治療医学
・.滅菌消毒学
はじめに／院内感染とその対策／消毒・滅菌の原則と実際
6）関係法規
医療関係職種／医療法／薬事法／医療保険／臨床工学技士と医療事故
