内容説明
本書は庭園という空間の領有の形式と人間の追想の関連を分析している。詩学とは制作学であり、しつらい、収集、巡礼、そしてパターンは、人間の理解の本質を突き詰めたうえで選定された実に解りやすい分類である。庭園という形態は、文化の圏域を超えて、空間や時間の隔たりを超えて伝わり、咀嚼され、根づいてきた。庭園の部分と全体を結びつけて、空間や形態の構成を成立させているものには、おそらく自然に対する人間の態度が映し鏡のように投影されているはずである。著者たちは、イスラム、ムガール、イタリア、フランスの整形庭園、イギリスの風景式庭園、中国庭園、そして日本庭園、それからバリ島、チベット、カシミールでの自然と人間の関わりを取り上げている。著者たちは場所の精神を訪ね、庭園を見つめ直し、自然と人工性の関わる様々な問題を探究してゆく。庭園には、様々な人工性を見ることができる。その場所に深く関わった人物たちが書き残した感性や所見を通じて、その時代の気分を身近に感じながら、著者たちは実際に庭園を訪ねた折の実感を記している。