感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
戦前戦後にかけて、東京都水道局に勤務していた著者がものした、江戸・東京の水道史。コンパクトながらも、その内容は徳川家康の江戸入府から1980年代の新宿副都心開発に絡む貯水場移転問題までと、スパンが長い。江戸市中に張り巡らされていた木製水道網、明治以降の水道の近代化、戦時体制下の水道、戦後度々起こった大渇水など、その時代ごとに水道にはエピソードがあった。なにしろ、命に直結する水と管理するので、いつの時代も住民の関心や利害が絡みあう。昭和初期の東京市の市域を拡大した、"大東京"誕生前後の水道の動きも興味深い。2019/03/02