内容説明
日本の著名な歌人を採り上げ、その代表作を厳選して紹介。一冊で取り上げる歌は40~50首(作品)。各歌には現代語訳をつける。振り仮名つきで読みやすい丁寧な解説つき。歌人略伝・略年譜を付し、生い立ち・歴史的背景がわかるようにした。それぞれの歌人についてより深く知るための読書案内付き。解説で、それぞれの歌人の特色と、文学史的位置づけを行う。巻末に作家・評論家・研究者による各エッセイを収録。
目次
大比叡や小比叡のおくの
惜しみても鳴くとはすれど
闇よりもあやなきものは
柴の戸に鳴きくらしたる
大堰河かへらぬ水に
池水の底に映ろふ
この里は花散りたりと
筏おろす清滝河の
なれがたく夏の衣や
武蔵野は青人草も〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハルト
6
読了:◎ 桂園派・香川景樹の和歌論は、「現代に生きている人間として折にふれ、ことにふれて心に感じたことを、そのまままっすぐに、平常に使っている言葉によって表現すれば、それが歌だ」ということになる。実物実景を重視した「調べの説」を提唱し、古今風を標榜した彼。雅調でありながら、自然ありのままを写しだし、わかりやすく美しい歌を作った景樹。その歌に酔うように、蝶は羽ばたき、夢はうつつになる。どこか清々しい心地となる短歌には、魅せられました。2021/03/03
紅林 健志
2
景樹の歌をはじめてまとめて読んだ。 映像的であざやかだが、やや深みに欠ける印象。 巻末の解説は端的にまとまっていて勉強になる。 景樹の歌(あと蘆庵も)が安価でまとめて読めるようになるとうれしいのだけど。2023/11/30