新古今時代の表現方法

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新古今時代の表現方法

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  • サイズ A5判/ページ数 670p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784305705143
  • NDC分類 911.13
  • Cコード C3092

出版社内容情報

●内容紹介(版元ドットコムより)
本歌取と題詠から、
何を読み解くことができるか。

三十一字とは思えない
深く広く遙かな時空を表現した
新古今時代の歌のあり方を探る。

新古今時代の本歌取と題詠について、またそこから派生し周縁に広がる問題を、
この時代の歌と、歌に関わる表現方法から解き明かす書。

●目次(版元ドットコムより)
【目次】

はじめに

第一章 新古今的本歌取と同時代歌人の影響

第一節 俊成卿女にみられる同時代歌人の影響 --『千五百番歌合』をめぐって
一 「影響歌」の定義
二 影響歌の分布
三 影響歌の分析(1)--発想
四 影響歌の分析(2)--詞・詞続き
五 影響歌の分析(3)--表現方法
六 影響歌の分析小括
七 影響歌と本歌取
八 影響歌と本歌の比較
九 影響歌と本歌の差異

第二節 俊成卿女の『源氏物語』摂取
一 御子左家の『源氏物語』尊重
二 『源氏物語』への内面的沈潜
三 定家詠との比較
四 俊成卿女の方法

第三節 俊成卿女と宮内卿の本歌取 --『千五百番歌合』をめぐって
一 『無名抄』の描く俊成卿女と宮内卿
二 『正徹物語』の記述と宮内卿の本歌取
三 宮内卿の本歌取の特色
四 俊成卿女の本歌取の特色
五 定家的本歌取と俊成卿女の本歌取

第四節 越前の本歌取 --『千五百番歌合』をめぐって
一 女房歌人越前に対する同時代の評価
二 本歌から摂取する詞の量と配置
三 新古今歌人との比較
四 本歌からの主題の転換(1)--同部立
五 本歌からの主題の転換(2)--異部立
六 慣用歌句・見立てによる詠歌
七 越前の方法
八 院政期本歌取との比較
九 新古今時代における越前の位置

第五節 新古今時代の「宇治の橋姫」詠
一 「宇治の橋姫」の典拠
二 「橋姫物語」の流布
三 六条家歌人の「橋姫」詠
四 『定家八代抄』の配列
五 定家の「橋姫」詠
六 新古今歌人の「橋姫」詠
七 まとめ

第六節 西行思慕と本歌取 --『花月百首』をめぐって
一 『花月百首』の成立
二 定家詠
三 その他の歌人詠
四 古典への視線
五 本歌取と古典書写

第二章 『通具俊成卿女歌合』考

第一節 成立と表現
一 当該歌合の概要と問題の所在
二 『明月記』関連記事の解釈
三 俊成卿女の立場
四 俊成「供出」歌の検討
五 詠歌の特徴
六 同時代歌人詠との関係
七 まとめ

第二節 注釈
一 テキストの現況と全般的な表現傾向
二 現存断簡一覧
三 注釈
四 当該歌合を出典とする可能性のある新古今集歌

第三章 中世初期における女性歌人の位置

第一節 「女の歌詠み」の存在形態 --『八雲御抄』に探る
一 「女の歌詠み」という用語
二 再構成される「女の歌詠み」の振る舞い
三 歌壇的行事における「女の歌詠み」
四 「女の歌詠み」の位置

第二節 「女の歌」という批評語
一 「女の歌」評の登場 --『古今集』仮名序小町評
二 作中主体論としての「女の歌」評
三 本質論としての「女の歌」評
四 「女の歌」評の変質
五 「女の歌」評から見えてくるもの

第四章 『最勝四天王院障子和歌』考 

第一節 後鳥羽院関連名所歌
一 研究史
二 名所の分類
三 院御所「水無瀬殿」の在所--水無瀬川
四 台盤所の隔てを飾った名所--飾磨市
五 院御所「鳥羽殿」の在所--鳥羽
六 行幸図の描かれた名所--大井川
七 後鳥羽院関連名所歌の特色

第二節 陸奥名所歌
一 「陸奥」に付された注記--『明月記』承元元年記事
二 白詩と注記の関係
三「陸奥」と「幽玄」を結ぶ
四 新しい名所の認定--安達原の場合
五、新しい本意の獲得

第三節 『伊勢物語』関連名所歌
一 『伊勢物語』関連名所の配置
二 秋の宇津山と俊成判
三 定家の詠歌
四 定家詠と『伊勢物語』章段の性格
五 定家の表現意識

第四節 テキストとしての『最勝四天王院障子和歌』
一 テキストの成立過程とその意義
二 テキストの享受
三 歌群として鑑賞するということ
四 歌群から再構成される「絵」 

第五節 基礎的考察
一 研究の現況
二 伝本一覧
三 各伝本の比較
四 まとめ

第五章 『内裏名所百首』の万葉名所歌

一 中世和歌における「風景」
二 名所詠の和歌史的展開
三『内裏名所百首』の「万葉集所名」
四 風景の構成
五 地名性溶解の危険

第六章 『光明峯摂政家百首』考

第一節 成立と「中世型組題」に関する考察
一 成立過程
二 成立の背景
三 歌題構成
四 「中世型組題」の持つ意味
五 まとめ

第二節 本文集成

第七章 『隆房の恋づくし(艶詞)』の成立 --歌書の再編と享受
一 『隆房集』諸本と問題点
二 第三種・恋づくし系諸本
三 改変の具体相--隆房自撰集から『恋づくし』へ
四 改変の方向性
五 改変の時期
六 『隆房集』の伝本分類

第八章 偽装された〈説話〉--『今物語』
一 問題の所在
二 説話の構成方法
三 『今物語』の評判--『兵範記』紙背文書

第九章 考証と資料紹介

第一節 鳥羽院皇女「高松宮」考
一 「飛礫宮」と呼ばれた皇女
二 高松宮の和歌事跡と人物考証
三 高松宮は高松院か
四 高松宮と高松院は別人
五 「高松宮」とは誰か
六 高松宮と高松院について言えること

第二節 『俊成卿女集』断簡紹介
一 新出断簡の出現
二 翻字
三 諸本との本文異同(1)
四 諸本との本文異同(2)
五 まとめ

終章

一 本歌取をめぐって
二 女性歌人をめぐって
三 題詠をめぐって
四 新古今の周縁へ

初出一覧
あとがき

Ⅰ 和歌初二句索引
Ⅱ 書名索引
Ⅲ 地名索引

内容説明

三十一字とは思えない深く広く遥かな時空を表現した新古今時代(1190‐1242)の歌のあり方とは。新古今時代の本歌取と題詠、またそこから派生し周縁に広がる問題を、この時代の歌と、歌に関わる表現方法から解き明かす。

目次

第1章 新古今的本歌取と同時代歌人の影響
第2章 『通具俊成卿女歌合』考
第3章 中世初期における女性歌人の位置
第4章 『最勝四天王院障子和歌』考
第5章 『内裏名所百首』の万葉名所歌
第6章 『光明峯寺摂政家百首』考
第7章 『隆房の恋づくし(艶詞)』の成立―歌書の再編と享受
第8章 偽装された「説話」―『今物語』
第9章 考証と資料紹介
終章

著者等紹介

渡邉裕美子[ワタナベユミコ]
1961年生。1984年お茶の水女子大学文教育学部卒業。1993年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得中退。2008年関根賞(第2次第3回)受賞。2009年博士(文学)。現職、早稲田大学非常勤講師、宇都宮大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。