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新風舎文庫
片想いの恋人

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  • サイズ 文庫判/ページ数 189p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784289507818
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0195

内容説明

激動の大正時代。ジェンダーロールからの脱却を描こうとした尾崎翠。幻想的でありながら、人間心理を突いた革新的な恋の短編集。

著者等紹介

尾崎翠[オサキミドリ]
1896年、鳥取県生まれ。女学校時代から作品の投稿を始める。故郷の小学校で代用教員となった後、上京。1919年、日本女子大学校国文科に入学。1920年、『無風帯から』が掲載されるも大学から問題視され、中退。その後は、執筆に専念する。1932年、体調を崩し帰郷。その後は筆を折り、親族の世話をしながら余生をおくる。1971年、肺炎にて死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yn1951jp

8
感覚は外的世界と内的世界を媒介する。翠は「接吻をしてきた男性の煙草に牛乳を含せた香り」のように普通の人には感得できないものを描き出した。「自然主義から一廻転した心境文学、触覚文学といふものを提供したい」「心臓の世界を一度頭に持つて来て、頭で濾過した心臓を披瀝する」翠は名のある作家ではなかったし、そうなりたかったわけでもない。「ゐりあむ・しやあぶ氏」の「どっぺるげんげる」である「ふいおな・まくろおど嬢」のように霞を吸いながら、昭和初期に自身の感覚地図を描いた。浜野佐知監督の映画「こほろぎ嬢」も観たい。2014/08/29

みどり

5
ずっとずっと恋い焦がれていた本。いつもは、たくさんの本が読みたいがために流し読みになりがちだけれどこの本はじっくりゆっくり読んだ。こほろぎ嬢や花束、途上にてはちくま文庫尾崎翠で読んだけれど、少女ララよー伝奇物語と香りから呼ぶ幻覚は初めて読んだ。特に香りから呼ぶ幻覚、はこの本にしか収録されてないそうだ。とても気に入った。尾崎翠の魅力を伝えるのはほんとうに難しいけれど、わたしにとっては彼女の本を読むと途端に非日常の美しい世界に連れて行ってくれる。尾崎翠のことがより好きになるような一冊だった。2016/04/13

あひるのふせん

2
文庫サイズのハードカバーに可愛らしい装丁、表題に期待して開けば、幻想と現実を曖昧にまとって行き来するような難解な小説で、背筋を正して読まなくてはならなくなった。あらゆる物語や芸術に浸る尾崎翠氏の高次元的な脳内についていかなくては日常だろうと思える描写すら幻想に思え、気を張っているとつい『アップルパイの午後』の兄(間違いなく作中一番の凡人)の「お前の言葉と来たら年中謎謎なんだ」という台詞にすかっとしてしまった。と言いつつも心に残る場面は多く、『途上にて』にての最後、帰宅してきんつばを食べる迄がお気に入り。2023/02/12

S谷

2
「片思いの恋人」という題は編集さんのつけたものだと思うけど、決して手に入れ得ない、記憶(自分)の中の心惹かれる人、といったところなのかな。その距離感や登場人物の自己完結した感じが好きさ。2010/04/18

仮名

2
甘ったるいような切ないような不思議な距離感。大正時代の語り口調が素敵。2008/10/06

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