内容説明
日本はいま、新たな国土・都市計画のコンセプトを必要としている。浅田孝は、21世紀=「都市の時代」を先取りしていた。膨れ上がる人口、郊外化する地方、足りなくなる土地、パンクする交通…。戦後日本の「爆発的に成長する都市」において実践された、都市を有機的・動態的に捉える方法論とは―。
目次
第1章 建築家浅田孝
第2章 廃墟を見た国土・都市プランナー
第3章 思想的プロデューサー
第4章 「環境開発」の視野
第5章 浅田の思考をトレースする
付録 寄稿集:浅田の話をしよう
著者等紹介
笹原克[ササハラカツ]
地域計画プランナー。1949年東京生まれ。工学院大学大学院工学修士課程建築学専攻修了後、環境開発センターを経て、オイコス計画研究所を設立。現在、オイコス計画研究所代表取締役。工学修士、一級建築士。日本都市計画家協会副会長(2002~2010年)、学校法人工学院大学理事(2005~2008年)、かわさきTMOタウンマネージャー(2007年~)、公益財団法人川崎市産業振興財団理事(2011年~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ja^2
3
浅学な私は浅田孝なる人をこの本で初めて知った。▼都市プランナーの名が残りにくいのは、個別具体のモノを創り、その完成とともに自らの名を顕示できる建築家とは対照的だ。それは都市プランナーの宿命なのかもしれない 。都市はたえず変化し続けて完成というものをみないからだ。▼さて、本文中で知る浅田の先見性の高さには舌を巻くしかないが、少し気になった点があった。浅田が早くから指摘していた都市プランナーとしての資質──「多くの領域の専門家が協力しあって…」が、果たして現代、その一端を担う我々が出来ているかという点である。2018/05/27
KN69
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【後日感想追加】(2015年読了)2015/12/31
maana1119
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丹下健三人脈の中では、川合健三と並んで気になっていたのがこの人なのだけれど、著作も手に入りにくく、建築作品もないのでは、そのひととなりを知ろうにも雲をつかむようなものだったのが、こうやってまとめて業績を知ることができるようになったのはよかった。もっとも本書だけでは本当にアウトラインだけなので、次は論文などをまとめていただきたい。というのも、浅田は今こそ読み返されるべき人だと思うから。日本の超高齢化や人口減少、観光が単なる娯楽ではない産業となることなどを、あの時代にすでに予見していたというのはすごい。2014/09/03
Matsumoto Kazuya
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まだまだ、知らないことはあったんだと痛感しました。修士論文で、浅田孝の思考に、少しは触れた気がしたけど、まだまだ、足りないなあと。ちっとも届かない。だからこそ、魅力的な人なんだろうと思いました。圧倒的な人。2014/07/13
mako
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いま長野で目にしている不動産や建築の動きに通じるものがある気がして。おもしろいなーと読んだ。浅田考の理想とする「動態的プランニング」とは、地域や都市はいつも変化しつづけていることを前提に、そのつど「実際的な手法」を積み重ねていくこと。反対の位置にあるものは「マスタープランニング」いわゆる都市計画-長い時間と大量の手間をかけた静態的な全量調査をもとにした、'高慢な'計画。さて、そこで気になるのは、ボトムアップ型、臨機応変でダイナミックな動態的なプランを遂行していくときに大切なことはなんだろう?ということ。浅2014/06/27