内容説明
ポーランドの片隅で司祭として忙しい毎日をおくるかたわら、わずかな余暇の時間を天文学の研究に費やし、完成した自らの本を死の床で目にする。「すべての中心に太陽がある」―地球を太陽をめぐる惑星にし、1500年にわたって西洋人の思考を支配してきた世界観をひっくりかえしたコペルニクスの評伝。
目次
第1章 世界を拡張する
第2章 ポーランドで過ごした学校時代
第3章 クラクフの大学で
第4章 イタリアの学者
第5章 飛躍的前進
第6章 大地を揺るがす新理論
第7章 忙しい律修司祭
第8章 回転について
著者等紹介
ギンガリッチ,オーウェン[ギンガリッチ,オーウェン][Gingerich,Owen]
ハーヴァード大学名誉教授(天文学・科学史)。スミソニアン天文物理観測所名誉上級天文学者。2006年夏のIAU(国際天文学連合)惑星定義委員会では議長を務めた
マクラクラン,ジェームズ[マクラクラン,ジェームズ][MacLachlan,James]
カナダ・トロントのライアーソン科学技術大学名誉教授(歴史学)。ハーヴァード大学にて博士号取得(科学史)
林大[ハヤシマサル]
1967年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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黒猫
11
天文学はわからなくても、私はコペルニクスに興味がありました。1500年もの間、アリストテレスの呪縛に、プトレマイオスの天動説に何の疑いもなく生きていた人びとに、「地動説」という静かなる革命をもたらした人であったからです。この本は、伝記なので詳しく知りたい人は専門書をオススメしますが、コペルニクスがどんな人だか知りたい人はこの本は最適です。司祭に忠実に勤務しながら空いた時間で天文学。国がドイツ騎士団に攻められれば、王に民の窮状を訴える。どうやらコペルニクスは地球を動かし、人の心も動かしているみたいです!2016/05/25
inenoha
1
著者のマクラクランは『ガリレオ・ガリレイ』(大月書店,2007年)を,ギンガリッチは『誰も読まなかったコペルニクス』(早川書房,2005年)を,それぞれ著している.レギオモンタヌス『アルマゲスト要約』にある説明に,地球中心の体系から太陽中心の体系へと移行する契機が含まれていたことや,16世紀の欧州で天文学書を印刷できるだけの印刷屋は少なく,『天球の回転について』はポーランドから遠く離れたニュルンベルクで印刷されることになったことなどが印象に残った.聖堂参事会員としてのコペルニクスについての記述も詳しい.2017/05/22
はち
0
大学の課題で読んだ一冊。読後はなるほどわからんという状態でしたが、再読して今度こそ内容を理解したいです笑2011/07/15
87
0
コペルニクスはガリレオほど実在論的に地動説を捉えてはいなかった。そして校正者が「天体の回転について」に序文を書き加えたことによって、この書物は当時の人びとに反=実在論的なものとして受容されるにいたり、禁書とならずにすんだ。2014/01/19
Tomoaki Kudomi
0
それまで定説だった天が動いているという天動説では天体の動きを説明できないとして、地球が太陽の周りを回っているという地動説を唱えたコペルニクス。彼の説が完全に正しかったわけではないのだが、それ以降、ケプラー、ガリレオ、ニュートンなどの人物によって、地動説は確実なものになっていった。コペルニクスの活躍がなければ、もしかしたら今も天が動いているんだ!という認識でいたかもしれないので、彼の活躍は天文学において、重要な役割を果たしたと言っていいだろう。分かりやすいので、入門書としておすすめ。