不安な経済/漂流する個人―新しい資本主義の労働・消費文化

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  • サイズ B6判/ページ数 207,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784272430734
  • NDC分類 366.9
  • Cコード C0010

出版社内容情報

日本にも共通する現代社会の諸事象を、組織・能力観・消費文化の三の変容から読み解き、ポストフォーディズム時代の新たな人間疎外を描きだす

目次

第1章 官僚制度(現在の新たなるページ;社会資本主義;檻から解放されて;組織の構造;権威と支配;二つの社会的損失;自己理解)
第2章 才能と“不要とされる不安”(不要とされる不安;職人技と能力主義;潜在能力;知識と権力)
第3章 消費政治(自己消費的情熱;ブランド化と潜在性;消費者としての市民)
第4章 われらが時代の社会資本主義(物語;有用性;職人技)

著者等紹介

セネット,リチャード[セネット,リチャード][Sennett,Richard]
社会学者、作家。1943年シカゴ生まれ。リースマン、エリクソンらに師事し、20代半ばから都市論などを発表し注目を浴びる。73年よりニューヨーク大学教授を務め、同大学人文学研究所を設立。現在はマサチューセッツ工科大学(MIT)およびロンドン経済学校(LSE)教授としてロンドン在住。小説も発表し、プロ級のチェロ奏者でもある

森田典正[モリタノリマサ]
1956年生まれ。早稲田大学大学院修士課程を経て、イギリス・ケント大学で博士号取得。現在、早稲田大学国際教養学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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人生ゴルディアス

6
古き良き社会学からの現代組織論。語り口が好みだと思っていたら、バウマンに言及とかあったのでやはりこのくらいの社会学は好きだな。で、巨大組織は官僚的でいわば牢獄だから、それを解体すれば有機的な共同体が戻ってくると思ったのに、分解してみたら再び寄り集まることはなくばらばらのままになってしまったというところから論が始まる。組織への忠誠が消滅したから序列による権威も消え、権力が中心部にだけ残ったというのは納得が深い。リモワで偉そうなおっさんの不必要さが暴かれ、情報技術が中間層を排除したという本書の指摘そのままです2021/12/10

ぷほは

5
セネットの文章はヨーロッパの初期近代の教養の含蓄ある文章から、いきなり現代の話になると衝撃的に当たり前な話に飛んだりするので、読みやすいし理解も容易なのに、把握しにくい。『公共性の喪失』では未だ歴史や芸術の記述が中心だったために骨太な読書だったのに対し、こちらは訳の問題も合わさりサラサラ読み通した結果、特に新たな知見があったかというと???な感じになる。別に常識的な結論に落ち着くのが悪いわけでもないのだが、エッセイ風に書くのなら驚きが欲しいし、そうでないならデータの厚みが欲しいのに、両方あんまりない。2018/10/17

ともゑ

5
仕事は賃金を得る為ではあるが所属意識を与えたり社会的な承認欲求を満たす役割も少なからずあるようだ。旧来の官僚的な縦型組織・共同体的な組織体系は時代遅れのものとされがちであるがその役割を果たしていたと思われる。さらに、資本主義社会が齎す不安から労働者を守る役割もある程度あったのではないか。近年のグローバル化などにより旧来の組織体系は弱体化した結果、資本主義の不安は労働者を不安定にし、労働者も適用するように精神を変化させている。読んでいると結構思い当たる節もある。2018/07/18

ルンブマ

4
「日本は人材の流動性がなさすぎ!」「個人はもっとリスクを取らなきゃ!」「流動性を上げないから日本は生産性が低いんだよ」という声を最近よく聞く。 この考え方に真っ向から対立するのが、セネットである。彼は、現在の停滞や社会不安が人材の流動性不足によって起きるのではなく、流動性を上げた結果として社会が不安定で停滞したものとなっていると説く。2019/08/18

SQT

1
短く文章が平易なので読みやすい。現代の企業の論理についての考察もされていて、就活を考えている学生に特におすすめだと思う。印象に残ったのは、有用性が公的な承認によってもたらされる正統性について解釈されているという点。著者は、その意味で家事労働にも有用性が認識されれば…と述べているが、家事に限らず、承認されること、つまり不要とされないことの政治性を考えさせられる。2016/07/20

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