感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
25
表題作の「鬼」が傑作。飢饉に苦しむ昔の東北地方と現代を交錯させた味わい深い物語です。小さな子供が犠牲になった飢饉の悲惨さをひるまずに描いているところに感心します。虚構の作品ですが、ここに描かれているように犠牲になった子供たちの怨念は、東北のどこかに残っているような気がしました。ただこの作品は暗いだけではなく、救いがあります。非道な行為を許すかどうかが問われる結末は、読者の心に重たい問いを投げかけます。2020/09/23
リッツ
23
大学の不思議圏サークルが体験した怪。その昔、飢饉にあえぎ口べらしの為に捨てられた子供たち、餓えに苦しんだ彼らは…。過去と現代が交差し悲しい声にそれぞれの抱えてるものが響き合う。とことん祟りや呪いに向かわず学生たちの柔軟さが救いになり良かった。じんわりと胸に残る。再読。先日読んだ「たったひとり」とつい比較して、ホッと一息。同時収録も怪異を扱っているが違う味わいで楽しめる。2015/01/24
Shimaneko
19
ひぃぃぃ、怖い怖い。「何もしてはくれない神 頼ってもいけない 侮ってもいけない」という巻末インタビューの言が頷ける。この絵ならではの怖さなんだよな、これは。2016/08/16
九月の白い雲
16
最近読んだ本の中で口べらしとか出てきて思い出したのがこの「鬼」。昔何度も読んだのでセリフも覚えているくらいだったが、久しぶりに読んだ今回は涙が出てしまった。2016/08/11
ぐりとぐら
15
[再読]『鬼の蔵』を読んで、思い出したので、何度目かの再読。飢饉、口べらし、本当にあったことで、胸が痛くなる。2017/08/01