出版社内容情報
項羽、四面楚歌の中で歌う。
「力は山を抜き、気は世を蓋う。時に利あらず、騅ゆかず。騅ゆかざるをいかんとすべき。虞や、虞や、なんじをいかんせん」
劉邦は、楚軍の囲みを突破して成皐城へ逃げ込んだ。
項羽は城を包囲して猛烈な攻撃を加えるが、兵糧が尽きて撤退する。
韓信や英布が応援にこないといらつく劉邦に、張良は彼らに領土を与えるよう勧める。劉邦は韓信を三斉王に、英布を淮南王に、彭越を大梁王に封じた。数日後、彼らの軍が成皐に集結し、諸国の軍勢も加わって、その数は120万に達した。
韓信は軍を徹底的に鍛え上げる。雌雄を決する日は刻々と近づきつつあった。
目次:
補給を断つ/三人への恩賞/漢軍集結/檄文/埋伏の毒/項羽出陣/決戦前夜/布陣発表/漢楚激突/楚軍大敗/垓下の合戦/四面楚歌/虞姫の死/逃避行/夢/壮烈二十九騎/項羽の最期
付録
項羽と劉邦関連地図
あとがき 項羽と劉邦 横山光輝
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
34
あの有名な四面楚歌の場面がクライマックスになっていて、さらに愛妻の虞姫や愛馬の烏騅の最期が涙を誘います。項羽は50万の兵を次々に失い、最後は29騎になってしまいます。29騎になってからも、勇敢に戦いぬく姿を胸に刻みつけて本を閉じました。あんなにむかついていた項羽なんですが、何故かこの巻だけは項羽の味方になって読んでいる自分に驚きました。敗れてしまいましたが、あっぱれでした!2010/12/09
べる
14
四面楚歌。項羽敗北。戦場において兵糧が大切であることに気づくのが遅かった。どこが重要な土地か分かっていなかった。範増が劉邦を殺しておけと何度も言っていた意味もやっと理解する。諸侯の言葉に耳を貸さないが虞姫の言葉だけは聞いた項羽。あれこれ考えるより堂々としておられるのが一番だと慰められるが、勇だけでは勝てなかった。劉邦は人をやる気にさせる力をもっていたし、人に恵まれていた。個々の長所を生かせるポジションを与え、全て見通して逃げる道筋まで想定していた韓信はすごい。やはり智もなければ勝てないのだ。2021/12/11
とんかつラバー
11
劉邦は張良の助言で部下に惜しまず領地を与え軍を大きくする(これが後でモメる原因になるのだが)項羽はちょっとは人の言う事を聞くようになったものの、責任を項伯(叔父)のせいにしたり、やっぱり項羽。「四面楚歌」によりほとんどの兵が離反し最後はたった28騎だけに。それでも漢軍と戦う項羽の姿には心打たれる。この人、武人としては素晴らしいんだよな。烏騅の最後が泣ける。長いストーリーであったが項羽享年31歳って若っ!!!2021/11/04
Keiko
6
遂に完結しました。四面楚歌の由来を知り、その場面から最期のシーンまで胸が締め付けられました。楚の終わり、項羽の終わり、様々な終わりが描かれていました。もう一度、味わいながら読みたいですね。司馬遼太郎の小説もいつか読みたいです。2021/07/21
瀑布
3
項羽の最期を憐憫の情で見届ける劉邦2020/02/25