出版社内容情報
韓信、董翳の降伏を称嘆す。
「よく降伏してくだされた。戦うにも勇気がいるが恥をしのんで降伏するにはもっと勇気がいりまする。だが、その勇気のおかげで、お互いにこれ以上血を流さずにすみまする」
韓信の訓練によって、漢軍は見違えるような精鋭となり、劉邦の前で合図に従って、一糸乱れぬ動きを見せた。
韓信は樊噲に桟道を一か月で修復せよと不可能な命令を出す。
しかしこれは楚軍を油断させるための作戦であった。散関を守っていた章平は、劉邦が桟道修復を始めたから油断するなとの范増の指令を受け、早馬を、三秦に飛ばす。しかし廃丘の章邯は、空言にまどわされるなと取り合わない。
そこへ漢の脱走兵が降伏を申し出てきた。
目次:
東征準備完了/脱走兵/陳倉道/再会/散関陥落/火攻め/挑発/夜討ち/水攻めの計/董翳降参/偽りの降伏/三秦平定/章邯自決/偽軍
付録
項羽と劉邦関連地図
項羽と劉邦ビジュアル 劉邦と劉備を結ぶ漢中の石門桟道 文/後閑英雄 写真/浦充伸
張王李趙遍地劉 武田一顯(元TBS特派員)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
31
サブタイトルが「水火の計」なので、当然韓信の考えた鮮やかな火攻めと水攻めが見られました。韓信相変わらず一人勝ちで、負け知らずです。力強い武将タイプは歴史物では花形で素敵ですが、クールで頭脳明晰な軍師も惚れ惚れします。この巻では、敵ながら章邯が自決しちゃったのだけが惜しまれます。2010/11/19
べる
18
韓信が本当にすごい。味方に不可能な命令を出して脱走兵として敵に侵入させたり、城の外に誘き寄せるために自尊心を刺激するヤジを飛ばさせたり、地形を調べて水攻めをしたり。韓信は相手の性格や考え方を把握した上で、先の先の先まで見通しているようだ。そして作戦を色々な角度から考えられる人だ。また、降伏した相手を丁寧にもてなし、恥をしのんで降伏した勇気を称えて、その勇気を正義のために使ってほしいと説くところがすごい。降伏しても打首とする項羽との違いがある。仁徳のある人は心をつないでその人の能力を発揮させる力があるのだ。2021/11/13
T K
12
水攻めや偽降伏、咸陽まで韓信の作戦通りに進む。これで安心かと思いきや先はまだまだ長いようだ‥2014/06/06
とんかつラバー
10
あとがきの陶器の話がすごく面白い。中国では古来、陶器ではなく銅など金属のものが重んじられていた(そういえば鼎とか爵は金属)兵馬俑はニュースで発掘された様子くらいしか知らなかったが、一つ一つが異なる形状で彩色されていた陶器というのに驚いた。文庫版の表紙を飾っているこれがまさにそれ。人を生き埋めにするよりも豪華だったのかもしれない。2021/10/19
Keiko
4
韓信の戦略、誠に見事です。敵の裏の裏を読む。そして敵も裏を読むが韓信には敵わぬ。5巻から韓信の物語になっている‼️笑2021/05/12