内容説明
男が、はたおりどうぐをそろえると、女は、小べやのとをしめながらいいました。「どうか、やくそくしてください。わたしがぬのをおりおわるまで、けっして中をのぞかないと」。
著者等紹介
山下明生[ヤマシタハルオ]
1937年東京に生まれ、広島県能美島で育つ。京都大学文学部卒業。児童書編集を経て、70年に処女作『かいぞくオネション』(偕成社)を出版。以後、幼年童話、長編創作、英、仏語の翻訳と幅広く活躍し、『海のしろうま』(理論社)で野間児童文芸賞、『はんぶんちょうだい』(小学館)で小学館文学賞などを受ける。2004年紫綬褒章受章。熱海市在住
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
1971年大阪生まれ。イラストレーター。書籍の装丁や挿絵などを中心に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雨巫女。@新潮部
12
《図書館-返却》鶴さんの矢が刺さった姿は、いたそうだった。布団を買うお金で鶴を救ったのね。2013/12/17
あおい
10
「動物報恩譚」「異類女房譚」「見るななタブー」昔話の約束事が満載のつるのおんがえし。殿様に命令され布を織ってほしいと頼む男と命の限りやりましょうという女が見つめ合うシーンは儚げで切ない感じが素敵。2022/07/10
遠い日
7
吉田尚令さんの絵を求めて。見てはならぬと言われれば、絶対覗いてみたくなるのが人の常。悲しく美しい昔話。2019/12/17
ume 改め saryo
4
中国の唐の時代から受け継がれた物語なんですね。 微妙に罠にかかったり、お婆さんがいなかったりで、再話が進んできたみたいですね。 イラストが儚げで、のっけの 訪ねてくるシーンでもう うるっと来てしまいました(笑) 『 行かないで!! 』(^^)/2012/09/06
sazen
3
仕事で使った作品。物悲しい雰囲気と表情の表現が過剰ではない挿絵が、物語に合っている。だけれど、男が母親と同居しているパターンは初めて読んだ。これがまた、息子を意のままにしようとする母と、いい大人なのにそれに素直に従う息子であるのが、ぞわぞわする。泊めた女を嫁にしようと言い出すのも、機織りしているところを覗いてこいと命令するのも母親。なんか、この親子関係、見たことある。令和の時代でも何度も見聞きしたことがある。こわ。2024/02/22